スワルスキーカブリダニの共同開発の経緯
すべてはアムステルダム大学から始まりました。1997年からカブリダニによるコナジラミの捕食の可能性について研究が始められたのです。ギリシャ人の研究者であるマリア・ノミコウ氏がヤンセン博士とサベリス教授のもとでこのプロジェクトを担当しました。 このプロジェクトはオランダにある科学技術財団からの学術補助金により可能となったのです。マリアはイスラエルとヨルダンでカブリダニの採集を開始しました。そこで彼女はコナジラミのそばにいるさまざまな種類のカブリダニに遭遇しました。
そのうち、スクタリスカブリダニとスワルスキーカブリダニの2種が有望と思われたのです。マリアの研究は博士論文として2002年に完成し、その内容は応用昆虫学関連の学会誌に掲載されています( Experimental and Applied Acarology, Entomologia experimentalis et applicata and Oecologia. )。その後アムステルダム大学において引き続き研究が継続され、科学技術財団からの研究助成金も継続され、ワーヘニンゲン大学の研究所とコパート社による応用研究が開始されたのです。マリアは博士論文が認められた後にギリシャに帰国しました。
次なるステップ
ワーヘニンゲン大学では、キュウリのアザミウマに対するククメリスカブリダニの効果が不安定であったため、他のカブリダニの探索が行われていました。そして2003年にスワルスキーカブリダニが極めて有望であることが見出されたのです。 その効果はククメリスの数倍優れたものであり、コナジラミと同時にアザミウマを防除できるという特性は、現場での利用という意味で大きな期待がもたれることになりました。
2004年 これらの研究に弾みがついたのです。加えて、園芸作物協会から研究資金が供されることになり、温室キュウリでのアザミウマおよびコナジラミの防除において優れた効果を示すことが見出されました。放飼試験は大成功であり、短期間にスワルスキーの密度は高まることが証明されました。もちろんアザミウマとコナジラミの抑制効果はククメリス放飼区を大きく上回ったのでした。2004年の秋にワーヘニンゲン大学はコパート社にスワルスキーを提供し、野菜および花卉類での試験も開始されました。
コパート社によるハウスでの放飼試験
同じ時期、コパート社は顧客である生産者のハウス内でのスワルスキーの放飼試験を開始しました。コパート社はアムステルダム大学でのスワルスキーの初期の研究段階から関与しており、ワーヘニンゲン大学のグループの試験によりキュウリで結果が良好であったことが分かっていたので、コパート社は独自にキュウリの他に重要な作物であるパプリカでの試験を実施したのです。
また、同時に、経済的な大量増殖法の確立のための試験も開始しました。これまで、カブリダニによるコナジラミの生物防除は不可能であると考えられていましたので、このスワルスキーを商業化していくには、増殖技術においてもさまざまな問題を解決しなければなりませんでした。そして、これらの研究の成果として、2つの特許申請につながる結果になったのです。試験研究は南北ヨーロッパにおいて、パプリカ、果樹、花卉、観葉植物などでも行われました。それらの試験の結果、スワルスキーは植物保護において重要な役割を果たすであろうことが見いだされてきたのです。
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