アリスタ通信 新規天敵殺虫剤 「スパイデックス バイタル」
 
 
新規天敵殺虫剤 「スパイデックス バイタル」
 
アリスタ ライフサイエンス(株)
IPMプロダクトマネージャー 田中 栄嗣


1995年3月に「スパイデックス® (チリカブリダニ剤)」が登録されてから28年が経ちました。この度、革新的な技術開発のもと、“餌”入り製品 「スパイデックス®バイタル」を開発し、本年2023年1月11日に農薬登録を取得しましたので報告いたします。

昨年11月11日に配信させていただきました、アリスタ通信 第53号の中で「10年を費やした革新的な技術、白色のチリカブリダニ」の題目で、開発経緯について少しお話をさせていただきました。

<アリス通信53号一部抜粋>
従来のチリカブリダニ生産(増殖)は、商業供給を考えると不安定であり、安定生産、安定供給が課題であった。そのため、長年に亘りチリカブリダニの安定生産(増殖)技術開発は、世界の天敵生産企業や研究者の間で試みられていたが、革新的な開発には至らなかった。
そんな中、10年を費やし生物的害虫管理を目的とした天敵生産技術の分野で革新的な増殖方法を生み出し、画期的かつより生産性や供給安定性の高い生産技術の開発に成功し、2020 年半ばから商業規模の生産を開始した。本事業や研究に携わる多くの関係者が驚きを覚えた。

本文では、従来製品 「スパイデックス」 と新製品 「スパイデックスバイタル」 との比較試験や現地実証試験の結果を踏まえ、革新的な技術開発に生まれた本剤の特長について、紹介させていただければと思います。

特長、従来の餌無し製品と比べて違う点
チリカブリダニの幼虫、若虫、成虫を含有
“餌”が含まれることで輸送品質が安定、また容器キャップ付近にチリカブリダニが密集しないので均等な放飼が可能(下写真)
  新規天敵殺虫剤 「スパイデックス バイタル」
チリカブリダニの活性が高いので、より多くの個体がハダニ発生箇所に到達 (図1)
栄養状態が良いので放飼後すぐに産卵を開始し、増殖が速く、ハダニを素早く防除 (図2)
新規天敵殺虫剤 「スパイデックス バイタル」
 
新規天敵殺虫剤 「スパイデックス バイタル」
 
新規天敵殺虫剤 「スパイデックス バイタル」
 
新規天敵殺虫剤 「スパイデックス バイタル」
 
“スパイデックスバイタルを用いた試験区(黄色線)は、スパイデックス区(ピンク線)に比べ、放飼後間もなくチリカブリダニの個体数が増加し、ハダニが速く減少したことが確認できる”

試験地: 鹿児島県鹿児島市 作物: なす (筑陽)
チリカブリダニ処理日: 2021年6月17日・24日、7月1日
チリカブリダニ処理量: 200頭/1a/回 (2000頭/10a)




 
スパイデックスバイタルを用いた試験区は、追加放飼後(1/18) にチリカブリダニが顕著に増加し、ハダニは低密度に抑制された。同時期に追加放飼を行った対照区では1月下旬以降、ハダニが急激に増加し、チリカブリダニの増加も緩慢であった。
「スパイデックスバイタル」 は定着性に優れることから、追加放飼後にチリカブリダニが速やかに増加し、ハダニを抑制したと考えられる

試験地: JAふくおか八女 (広川町) 作物: いちご (あまおう)
放飼日: 2022年11月2日、2023年1月18日
チリカブリダニ処理量: 600頭/1a/回 (6000頭/10a)
ミヤコカブリダニ処理量: 500頭/1a/回 (5000頭/10a)



天敵殺虫剤 『 スパイデックス®バイタル 』 販売開始予定
「スパイデックスバイタル」 および以下のセット製品は、9月4日(月) より販売開始を予定しております。なお、従製品 「スパイデックス」 「スパスパ トリオ」 「スパスパ セット」 は、8月31日(木) 最終出荷にて販売を終了いたします。
 
「スパイデックス®バイタル」が持つ“みなぎるバイタリティー!!”、
是非この機会に より高まったハダニの防除効果を実感ください。

 
※2023年8月8日現在の情報です。製品に関する最新情報は「製品ページ」でご確認ください。