天敵昆虫、微生物農薬、バイオスティミュラントに続いて近年話題になりつつあるのが、「バイオインプット」という言葉です。
「バイオインプット」とは、なんでしょうか?
それは、バイオスティミュラントや生物農薬に加え、バイオファーティライザー (バイオ肥料)、生物系土壌改良剤、生物ベースの生長促進剤、微生物イノキュラント(根粒細菌)
などが含まれます。
つまり、土壌、植物に生物系の成分を施すことを 「バイオインプット」と称しているわけです。
これらのバイオ製品が最近どこで、よく使われているかというとブラジルなのです。ブラジルは世界最大の農薬使用国のトップ3の一つであり、生物農薬系の製品の販売金額が400億円程度あるようです。
化学農薬の販売金額に比例して多いということは十分推測できるのですが、さほどオランダや日本のように温室の比率が高くない国で、かなり使われているということは、野外の作物で使用されていること示していることになります。
大豆や、トウモロコシ、綿花などで、センチュウや害虫防除用に使用されているようです。
生物農薬に加えて、バイオスティミュラントの利用も盛んで海藻系が使用されています。
なぜブラジルでバイオが盛んに用いられているのか、その理由の一つとしては、根粒菌などの窒素固定菌の利用が以前から盛んで、その微生物の活動を妨げない剤が必要であった、また、こちらのほうがより重要かもしれませんが、ブラジルの農産物は基本的に輸出産業です。農薬残留の問題、SDGsの問題などをクリアにするため、生物的な手法が好まれているということは言えます。
とはいえ、ブラジルでの農薬の利用は隆々としたものであり、生物、化学の両方の手法によって、世界の食料生産を担うブラジル農業は今後も斉唱しつづけるのでしょう。
このブラジルの手法を追随しているのが、中国と言われています。今後どのような戦略で両国が、IPM、「バイオインプット」、バイオスティミュラントを開発していくか興味深いところです。
因みに、微生物殺虫剤である イサリア フモソロセウス(イサリア菌)やトリコデルマの製剤はブラジルで、よく使われています。もちろん、野外の作物に対してです。
今後の調査が望まれるところです。