【アスコフィラム・ノドサムの利用】
アスコフィラム・ノドサムはバイオスティミュラント原料として頻繁に使用されており、世界中で最も広く研究対象となっている天然資材のひとつです。その抽出物は、植物の生長を改善し、生化学的なプロセスの調節によって非生物的ストレスを緩和することが知られています。
生産メーカーはこれらの含有成分の抽出効率や安定性を確保する目的で、様々な製造方法を工夫していますが、その形態は可溶性の粉末か液体製剤に大きく分かれます。液体製剤の場合は、水系抽出、酸加水分解、アルカリ加水分解、超音波抽出、酵素添加抽出などの製法があると言われており、その抽出方法ごとに成分組成や有用成分濃度は異なってくるものと思われます。また海藻は一般的に採取する季節でその成分組成も大きく変動するため、安定的な品質を保持するための工夫も必要です。
【バイオスティミュラントとしての効果】
アスコフィラム・ノドサム抽出物 (以下、ANE:Ascophyllum nodosum extract) は硝酸イオンの代謝、アミノ酸の合成に関与していることが知られ、ぶどうの木への土壌灌注では、植物栄養摂取を改善し、窒素代謝と同化においても重要な役割を果たしていることが報告されています(Turan
and Köse, 2004)。
また、ホウレン草やレタスなどの葉物野菜の生長を増強し (Cassan et al., 1992; Moller
and Smith, 1998)、植物の抗酸化性を高めることにより収穫後品質を改善したという報告もあります(Chrysargyris
2018)。
一方、スイカ、リンゴ、オリーブ、ブドウへの葉面散布においては、果実品質を改善し(basak, 2008)、ブドウにおいては熟成率を向上させ、アントシアニン色素やフェノール類の蓄積を増加させた(Norrie
et al., 2002)という報告もあります。
ANEの施用による植物の生長改善効果の報告を以下、引用しました。