第3回 自然由来の有用物質 アミノ酸やミネラルなど多種多様(2021年8月18日掲載)
多くの自然由来の有用物質がバイオスティミュラントとして分類されている。その一例を紹介したい。
①腐植物質
土壌中で動植物の遺体が微生物により分解・重合されて生成する高分子有機物。土壌の団粒化を促進し、保肥力を向上する。土壌微生物相を健全化し、根張りを良くする効果がある。
②海藻抽出物
海藻から得られるエキスが農業場面で利用される。多糖類によって土壌水分保持や通気性の改善に期待できる。また植物の生理活性を高める目的で葉面散布資材として用いられる。
③アミノ酸
動植物由来のタンパク質を化学的に分解して得られる。植物はアミノ酸を直接的に吸収することが可能で、弱った植物の回復にも効果的である。糖度のアップや抗ストレス作用が期待でき、浸透圧の維持や葉緑素の合成に関与するものなど様々な種類がある。
④微量ミネラル
植物体内の化学反応を司る酵素の生成にはミネラルは必須だ。中でも鉄は葉緑素の生成や根の伸長に不可欠な元素。カルシウムは細胞を強化し、植物の抵抗力を増す。
⑤微生物資材
トリコデルマ菌などの真菌類は非生物ストレスへの耐性、栄養素の利用効率、器官成長の向上などに効果がある。一部の細菌はPGPR(植物生長促進根圏細菌)として今後利用が期待される。
その他、酵母の細胞壁やカニ殻由来のキチンは、発根を促し免疫的な働きで非生物的ストレスを軽減できる。
さまざまなバイオスティミュラントが、植物の生長ステージや外的ストレスの種類に応じて、肥料や農薬とともに使用され、作物の総合的な保護に役立っている。