<りんご栽培での課題>
長野県は過去に養蚕業が盛んだったため桑畑を改植してりんごを栽培している圃場が多く存在します。そのような桑畑の改植圃場では紋羽病の発生が多くみられる傾向があります。
野口さんの圃場も昔は桑畑だったこともあり、紋羽病の発生やそれに伴う樹勢低下が課題となっています。十数年という長い年月をかけて育てた樹が駄目になることもあり、化学薬剤を使い続けてはいましたが、根本的な解決には至っていませんでした。また、温湯消毒のような新しい技術もでてきてはいますが、機械が高価なことと広い面積の消毒については作業的にあまり現実的ではないと考えていらっしゃいます。
<トリコデソイル使用へ>
そんな中、昨年の春に所属されているJA信州諏訪からトリコデソイルを紹介され、灌注処理を試してみられました。トリコデソイルは当初はセルリーなど野菜の根圏育成の目的でJAから紹介されていました。果樹にも樹勢回復効果があるという資料を目にされ、半信半疑ながら、まずは樹の活力や免疫力を高めるという観点でお試しされたとのことです。
<トリコデソイルの使用時期と効果>
使用時期については開花前にあたる4月下旬と、8月下旬の2回を慣行防除に合わせて使用をされました。樹勢が低下している株には4000倍100L~200L、健全な株にも同倍率80L~100Lを処理して頂きました。
4月処理については地温が上がり、根が動き始める時期を目安として使用をされ、およそ1ヶ月後の5月末ごろには慣行薬剤区と比較して樹の根本にひこばえの発生が見られ、さらに葉色が濃くなるなどの樹勢回復効果が確認されました。
8月処理については葉色が若干濃くなるといった効果は見られましたが、春先ほどの効果は実感できませんでした。このことから使用時期としては効果が見えやすい開花前が良いのではないかと考えていらっしゃいます。
特に樹勢低下がみられる株については隣り合った樹で4000倍100L区と200L区を設けて、比較して頂けました。どちらの株も前年と同程度の樹勢だったようですが、200L処理した株の方が樹勢もより回復しており、収穫した果実の重量や収穫量も勝っていました。