花の状態については夜の温度を留意していただくことを中心に書かせていただきました。一方で、日中は巣箱を熱から守っていただくことに注意が必要です。
地下埋設とタイベックシートを利用した巣箱の遮熱
自然界のマルハナバチの巣は土の中の空洞に創られています。地中の空洞は温・湿度が非常に安定した空間です。例えば、気温が40℃になっていても地中の温度は29℃程度に抑えられています。
マルハナバチは低温に対する耐性が高いハチですが、高温に対しては弱い面があります。特に巣の中にいる幼虫は高温によるダメージを受けやすいため、酷暑期に利用にはマルハナバチの巣箱を十分に高温から守ってあげることが重要です。
本州の夏秋産地では、巣箱を地中に埋めたベランダコンテナなどに設置する地下埋設方法(写真③)を実施している産地があります。また、大きな発泡スチロールの中に巣箱を置き、高温になる日中の数時間だけでも保冷剤や水を凍らせたペットボトルをその中に入れておくなどの工夫をされている方もいらっしゃいます。
なお、なかなかそこまで手をかけることは難しいという方には、当社では暑さ対策の一助として、丸和バイオケミカル株式会社のご協力を得て、遮光、遮熱効果の高いタイベックシートをマルハナバチの巣箱を設置している台などにかぶせやすい大きさ1m×0.75mに裁断したものを、当社のマルハナバチ製品「ナチュポール」、「ナチュポール・ブラック」、「ミニポール・ブラック」をご利用の生産者の方に無償で配布しております(写真④)。
マルハナバチの巣は、遮光などの暑さ対策が何もなされていない状況(35℃以上)に巣箱が数時間さらされると、巣の材料であるロウが溶けて、幼虫が死滅するなど深刻なダメージを受けます(写真⑤)。幼虫のいない巣箱は、働きバチが生存していても花粉を食べてくれる幼虫がいなければ、トマト花への訪花活動はしません。ぜひ、タイベックシートをご活用いただき、巣箱を暑さから守りつつ、状態の良いトマト花が咲く環境でマルハナバチをご利用ください。
ナチュポール製品は今作も引き続き、高品質なマルハナバチを安定供給させていただきます。