今年2020 年 2 月開催予定であった掲題のシンポジウムは新型コロナウイルス流行の為に中止となりましたが、講演要旨は、印刷されています。一部配布されていますが、各講演についてサマリーを作成しましたので、ご興味のある方はご一読ください。
1. 「イオン農場の取組み」 については、原稿が入手できず、サマリーはありません。
2. 「GAPとIPM」 認定NPO法人 GAP総合研究所 武田 泰明氏
大手小売業、食品メーカーなどのバイヤーGAPを農家に求める理由は、「持続可能な農業」です。その中には、「経済的にも実行可能で適切な病害虫への対応」があります。その中心となるのが、IPMです。JGAP、ASIAGAP、GLOBALGAPの国際水準のGAPでは、IPMに基づく病害虫管理を求める項目があります。JGAP認証農場は、すべてIPMの考えに基づく防除計画を立てる必要があるのです。
3. 「果樹栽培における天敵利用を考える ~<W天敵>の成果と今後の課題~」
国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 外山 晶敏氏
W天敵防除体系: 土着と導入天敵のダブル利用。リンゴ、オウトウ、ナシ、施設ブドウ、施設カンキツにおいて最善の方法を探索することとした。4つのステップがあり、1.天敵に影響の少ない薬剤の選択
2.天敵に優しい下草管理 3.カンキツでスワルスキー、それ以外でミヤコを採用 4.協力的なダニ剤の利用。スケジュール散布も実施。
4. 「千葉県での梨におけるハダニに対するIPMプログラム」 千葉県農林総合研究センター清水 健氏
現場でのニセラーゴ、ミヤコの2種にて検討。影響の大きい殺虫剤は スプラサイド、ディアナ。アプロードは問題なし。一方害虫であるカンザワハダニにはディアナの効果が極小で、誘導多発(害虫多発生)が起こる可能性があった。また多目的防災網で大型害虫の防除、草生栽培も有効。天敵製剤を使うと土着の増加開始が早まる。
5. 「大規模バラ園における生物農薬利用」 クニエダ株式会社 國枝 政嗣氏
生物農薬導入の理由: 1.作業員への農薬暴露を避けるため 2.オランダ人コンサルタントによる指導 3.食用バラへの挑戦。ハダニ、アザミウマにククメリス、チリカブリをアルミカップにいれ実施。うどんこ病に対し、ベッド下ダクトにバチルス菌製剤をいれる。結果として、暴露は減り、食用バラも実現。
6. 「外来生物クビアカツヤカミキリの生態と防除 : 生物防除の可能性を考える」
国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 加賀谷 悦子氏
ボーベリア・ブロニアティ製剤 バイオリサカミキリと、スタイナーネマ カーポカブサエ剤 バイオセーフで成虫と幼虫を防除。有効性の検証は今後の課題だが、必要不可欠な製剤であろう。
7. 「トリジェネレイション型大型温室での野菜栽培とIPMの試み」 株式会社サラ 小林 健伸氏
1. 補助金に依存しない農業を目指す
2. 世界初のバイオ発電を備えたマストリジェネレイション (電気、ヒーティング、CO2利用)
3. パッド&ファンを利用したHACoクーリングシステム 吸湿と断熱利用。
4. IPMの最大化
5. 地域雇用の促進 を16haのトマト、パプリカ、レタス圃場で生産実現中。