アリスタ通信 <海外コラム>中国での生物農薬の状況について
 
 
<海外コラム>中国での生物農薬の状況について
 

● 中国での生物農薬の状況について

微生物農薬と植物抽出物源農薬、バイオケミカル農薬 (PGR、Harpin、ブラシノライド、キトサン、フェロモン、ビタミンなど) 等も生物農薬に分類している。
700社が登録を取得。
対象作物: 水稲、小麦、ワタ、果樹、野菜

この中に、21種の抗生物質農薬が含まれている。製剤では、120 products。
アバメクチン、スピノサッド、Zhongsheng mycin, カスガマイシン、Wuyimycin、ポリオキシン、Jingangmycinなど。中国発の抗生物は日本その他で開発されていない。

注:日本では、抗生物質系は生物農薬に含まない

○ 微生物農薬 36 AI、443productsで、日本やEUで開発されていないものは、
Bacillus methylotro-phycus (灰色カビ病に効果あるとの文献あり)
B.marinus (海洋性バクテリア)
B.cereus (世界的に下痢原性バチルスで許可はされていない種 BTkに近い種)
Paenibacillus polymiza (日本の会社も開発していたが、未登録)
Empedobacter brevis (敗血症sepsisの原因になるとの文献あり)
Bacillus licheniformis (株式会社エス・ディー・エス バイオテックが生物農薬として特許を出している)
Metarhizium majus (メタリジウム菌の一種 バッタ用に使われる可能性)
Conidiobolus thromboides (アブラムシ用の昆虫疫病ウイルス、生産と保存が困難であり、本当に実用化し
ているのであれば驚きである)
Periplaneta fuliginosa densovirus (昆虫ウイルス)
日本その他の国での開発が可能であれば、興味深い。

○ 植物源農薬 30 AI、331 products
漢方薬源農薬と考えられるものが多い。多くの農薬は植物の成分を参考にして作られていることを思うと、原点なのかもしれませんが。
Matrine (苦参(クララ)) アリスタも一時ワークしていたが刺激性が高い。
Veratrine(Sabadille というユリ科の薬草から抽出される成分。農薬としての可能性は知られている)
Celastrus anglulatus(ニシキギ属 殺虫成分がある)
Eucalyptol(ユーカリからの抽出物)
Neochmaejasmin(ジャスモン酸関連?)
Triptolide(医薬品)
Curcumol (抗がん剤として知られている植物抽出物、ウコン系の植物)
Enidiadin(セリの仲間、蛇床子とも。)
Physcion(うどんこ病にポリオキシンより効果がいいとも。ギシギシの仲間)

蛇床子

中国は漢方の国なので、これら植物源農薬を開発登録できたようである。ニームも登録されていない日本では登録は困難。

BT剤は1000億円以上売れているとのことであったが、現時点では、確認の方法がない。その後別ルートで調べたところ、17億円にすぎないことが判明しました。



● デンマークでの生物防除の普及度合について 2019年

デンマークにおける生物防除は以下のような普及率です。

デンマークにおける生物防除 普及率
概して、スウェーデン、フィンランド、オランダ、ベルギー、イギリスなどが天敵利用の現場での発祥の地となります。
近年は、スペイン、イタリア、メキシコ、ギリシャ、コロンピア、ペルー、そして日本など緯度の低い国にも伝播してきたわけです。
日本は、アジアでは最も天敵利用が進んでいます。
韓国、中国もまだまだの状態です。

(和田哲記)
 
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※2020年2月18日現在の情報です。製品に関する最新情報は「製品ページ」でご確認ください。