なお、ボタニガードESによって誘導される抵抗性は植物体の全身に獲得されるものではなく、処理部位のみに限られることがわかっています。よって薬液を散布する際には作物全体にまんべんなく処理する必要があり、散布後に新しく展開した葉や芽についても追加で処理する必要があります。
ボタニガードESによるうどんこ病防除においては予防効果が主体なので、“発病前~発病初期”から7日程度の間隔で十分量を複数回散布することが重要です。微生物殺虫剤の利用については散布の際に同時使用できる殺菌剤の種類が少ないということが使用上の課題の一つとなっていましたが、今後はボタニガードES自身が殺菌剤としても利用できるようになったことで防除作業の効率化や経費削減が期待されます。
2) シソサビダニに対する防除効果
シソサビダニはシソ属の植物に寄生する体長約0.15~0.2mmの微小なサビダニの一種で、オオバ(青しそ)にシソモザイク病を引き起こすシソモザイクウイルスを媒介することで近年問題になっています。比較的新しい害虫ということで効果的な防除手段が不明であったため、平成27年から農林水産省・農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業において
「シソサビダニが引き起こすオオバのモザイク病およびさび症の防除体系確立」 の研究開発が取り組まれていました。この事業に参画していた高知県農業技術センターによって、ボーベリア・バシアーナによるシソサビダニへの殺ダニ活性が確認され、また圃場試験でもボタニガードESがシソサビダニに対して防除効果を示すことが明らかとなりました(図4)。
今後は昨年適用拡大となったチャノホコリダニやマデイラコナカイガラムシと併せてシソのマイナー害虫防除への活用が期待されます。