オランダは九州と同じ面積でありながら生産性を高めることで、農産物輸出額は900億ドル超と、アメリカに次ぐ世界2位となっています。特に、施設園芸での生産性は年々向上し、トマトの収量は世界最高水準の60kg/㎡、高知県平均の2~3倍となっています。
ウェストラント市はオランダの中でも施設園芸が盛んであることから、本県は20年以上前から交流を始め、IPM技術や交配昆虫の利用技術を学んできました。このIPM技術は、本県でアレンジされ、スワルスキーカブリダニなどの天敵農薬とタバコカスミカメなどの土着天敵を有効活用する技術が開発され、施設ナス、ピーマンではほぼ100%の農家に導入されています。
このような交流のなか本県とオランダ ウェストラント市は2009年に 「友好園芸農業協定」 を締結しました。締結後は、農業者や農大生、農業関係県・JA職員などで組織する訪問団を毎年派遣し、これまでに301名がウェストラント市で最新の園芸技術と経営、流通、省エネルギー対策について学んできました。訪問団以外にも県試験場の研究員を種苗会社や農業研修施設へ長期派遣するなどの研修を実施しています。また、ウェストラント市の農業専門学校レンティス校と高知県立農業大学校との短期留学生交換などの交流も行ってきました。
近年、日本国内でオランダ園芸農業の注目が高まり、大規模な次世代園芸団地が全国に10カ所整備されました。その一つが、高知県四万十町に建設され、4.3haもの大面積で、オランダのシステムによるトマト栽培が2016年度からスタートしました。これを皮切りに、県内各地で50a以上の次世代型温室の整備が進み、これまでのビニールハウスにおいてもオランダの環境制御技術が浸透し、多くの品目で収量が年々上昇しています。
現在、高知県では産学官民連携プロジェクト 『IoP (Internet of Plants) が導く 「Next次世代型施設園芸農業」
への進化』 をキーワードにさらなる高収量、省力化など生産性を高める取り組みを行っています。本県農業の新たな10年を切り開く本プロジェクトについてはウェストラント市をはじめとするオランダ側の協力もお願いしており、今後も交流が発展していくことが期待されています。なお、2019年度も7月13日からオランダ訪問団を派遣する予定となっています。
~ 2018年のオランダ訪問 ~
7月31日から8月3日に生産者、JA営農指導員、県議会議員、農業大学校生、農業高校生、流通関係者、県職員など43名でウェストラント市を訪問しました。その様子を紹介します。