栃木県で最も大きなイチゴ部会であるJAはが野イチゴ部会は、平成19年からJAはが野、JA全農とちぎ、芳賀農業振興事務所、メーカーによるIPMチームが結成され、天敵を使ったハダニの総合防除に取り組んでいます。
今回は、研究会の展示圃場の舘野裕重さんに登場していただきました。 「私の父が部会長だったこともあり、研究会の展示圃となった3年前から天敵を利用し始めました。近年は暖冬等で年間を通してハダニが発生するようになり、さらに殺ダニ剤の効果が低くなったことも加えて毎年ハダニの防除に頭を悩ませていました。
最初は天敵の使い方が分からず不安でしたが、『開花前に殺ダニ剤による徹底防除、天敵導入前に気門封鎖剤の散布、開花時期を目安にスパイカルEXを放飼、放飼後は選択性殺虫剤の散布、年明けにスパイデックスの放飼』という、一連の流れをプログラムで教えられたので、簡単に取り組むことができました。以前は春先にダニが多発して毎週殺ダニ剤を散布していましたが、天敵を利用し始めてからはハダニ防除に困らずに作の終盤を迎えることかでき、今では無くてはならないものになっています。」
「天敵に対して当初は価格が高いイメージがありましたが、使用し始めてから感じたことは、トータルで考えると決して高いものではないということです。ハダニでイチゴがダメになると、天敵の費用以上の損失がでます。また、天敵を利用することで殺ダニ剤の散布タイミングを遅らせることができ、殺ダニ剤の散布回数が減るため、精神的にも体力的にも助かっています。特に今シーズンのように天候不順の日が続くと、晴れた日に農薬散布とミツバチによる受粉のどちらを優先させるか悩みの種ですが、天敵が入っていたためミツバチの受粉を優先させることができ、収量の増加につながりました。近年はミツバチが不足しているため、薬剤散布回数が減ることはミツバチの活性維持にもつながると思います。」
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