「天敵昆虫を使うようになって、花のサイズは大きく、茎は太くなり、1平方メートル当りの花数も増えました。現在バラの品質は非常に高くなり、花持ちもよくなっています。」とは、ポーランドのバラにおける主要な生産者の一人、マレクさんの言葉。
マレクさんは2001年から天敵を利用し始めました。
「当初は、ハダニの防除から始めました。そのためには、自分自身とハウスの従業員が害虫と天敵昆虫の知識を学ぶ必要がありました。そのためにかなり時間がかかりました。天敵がその最大の力を発揮できるようにするためです。最初は、みんな不安に思っていました。農薬散布のかわりに、天敵を放飼するということに。でもそのこの新しい方法が、自分たちにとっても、より良い方法であることにすぐに気が付き始めたのです。」
マレクさんのハウスでは現在、アザミウマ、ハダニ、アブラムシ、コナジラミなどに対して、ククメリス、スパイデックス、スパイカル、エンストリップなどを使用しています(*1)。コパート
ポーランドの担当者と相談しながら防除プランを準備するのです。マレクさんと担当者はお互いの経験をもとに、天敵昆虫の使い方を相談しながら、生物防除の効率を上げてきたのです。(編集部注*1日本では、エンストリップは花き類・観葉植物に登録がないため、コナジラミに対しては粘着板
「ホリバー イエロー」 と 「スワルスキープラスUM」 を推進しています)
天敵利用の長所は、マレクさんには、はっきりしています。「バラの生産環境が良くなり、生産量が安定しました。品質が良くなったため、バイヤーからのお褒めの言葉をいただいています。出荷の速さも評価されています。これは天敵とは関係ないですが。」この先端を行くポーランドのバラ生産者は、いまでは、17年前の防除をどうしていたかを覚えていないくらいに天敵利用に慣れ親しんでいるようです。
マレクさんの一家は当初ユリ、フリージア、チューリップなど栽培をしていました。1994年から周年のバラ栽培に切り替えることにしました。彼のハウスはオランダ式のフェンロー型(連棟)温室で、3万平方メートル(3ha)の規模です。マレクさんの方針は、①先端技術の取入れ
②品質重視 ③環境重視 ④継続的な技術への投資(肥料の循環システム、芸術的ともいえるソーティングシステム)
⑤天敵利用とのことです。
(抄訳 和田哲夫)