このトマトは次のような生体反応を示すでしょう。
1、 太陽光線を受けて光合成(光化学反応)はフル回転し、根から吸収した水が水素イオン(プロトン)と電子に分解され、このエネルギーは二酸化炭素の同化(カルビン回路)に使用されます。
2、 ところが高温と極度の乾燥条件のため、植物はこれ以上水を失ってはいけないと判断し、気孔を閉じていきます。
3、 気孔を閉じることによって、いったんは水の損失をストップすることに成功したものの、気孔を閉じてしまったがために今度は光合成に必要な二酸化炭素を取り込むことができなくなります。
4、 本来、①で生産した水素イオンや電子はATPやNADPHというエネルギーの運び屋に姿を変えて、二酸化炭素→糖(炭水化物)の合成に貢献するわけですが、主原料である二酸化炭素が欠乏するとカルビン回路の生化学反応が緩慢になります。
5、 光が当たり続ける限り、①の光合成(光化学反応)は留まることはありません。余剰に生産されるエネルギーは活性酸素に姿を変えて蓄積していきます。これが植物細胞やDNAを攻撃し始めます。
以上、が乾燥時の植物の状態です。
活性酸素を除去してストレスを緩和する
植物を健全に育てていくには、活性酸素を過剰に発生させないことが非常に重要です。通常発生した活性酸素はSOD
(Superoxide dismutase) (*1) やカタラーゼ (*2)
などの酵素によって消去されます。また、グルタチオン、ビタミン類、ポリフェノール、カロテノイド類は抗酸化物質として活性酸素を分解します。バイオスティミュラント資材は植物の本来持つ生理的な力を利用して、光合成反応を正常化することによって、過剰な活性酸素を除去しストレス解消に役立ってくれるはずです。
活性酸素の除去にバイオスティミュラントを利用する
文献などを調査することによって活性酸素を減らすことのできる資材や物質を探すことができます。腐植酸の1つであるフルボ酸はポリフェノール類として活性酸素の除去機能があると言われています
(*3)。海藻に含まれるフコイダンにも活性酸素の消去作用が見つかっています
(*4)。