結果の概要と考察
・放飼時のハダニおよびカブリダニ数は「0」でした。
・放飼4週間後までハダニの密度は高くなりませんでしたが、その後は両区ともハダニの発生とともにカブリダニの発生が確認できました。
・果実袋区は放飼6週間後でも雨の浸水は確認できなかったのですが、パックのみの区では約30%のパックに浸水が認められました(表1)。
・両区ともハダニの発生は局所的で周囲には広がらない様子でした。
・最高値でも葉当たり平均のハダニは5頭以下で、落葉することはありませんでした。
・両区ともに、ハダニの密度が上昇すると同時にカブリダニも順調に増殖し、8月下旬にはハダニの発生が収まり、ナシの収穫期に殺ダニ剤を散布することなく試験を終了することができました。
・毎年ハダニの発生が多い方角を果実袋区としたため、果実袋区とパックのみの区を比較すると、ハダニの発生量は果実袋区の方が多いがカブリダニ数も果実袋区の方が多いことが確認できました。
以上の結果から、スパイカルプラスをナシで利用する場合、安価な果実袋を利用することで雨の浸水を防ぐことができました。果実袋を利用した区と利用しなかった区の効果には大きな違いはなく、ハダニの発生が見られたものの、カブリダニが捕食したことにより、落葉までいたりませんでした。しかしながら、果実袋を利用することで、より安定的なカブリダニの供給が可能となり、ハダニの発生量が多くても対応できることが示唆されました。
2017年は、防水カバーを白色(写真1)に変更してナシのIPM防除に取り組んだ農協のナシ生産者8名にアンケートを実施しました。