アリスタ通信 〈生産者の声〉使ってま~す。 奥さん絶賛、ピーマンのスワルスキーにスパイデックス
 
 
〈生産者の声〉
使ってま~す。 奥さん絶賛・スワルスキーにスパイデックス

 
熊本市植木町 (JA鹿本植木支所)
井村栄男・友紀さんご夫妻

「阿蘇くまもと空港」離着陸の際、上空から見下ろす窓の外には地上一面シルバー色のビニールハウス群が広がっている。農業県熊本独特の光景で、日本一の施設園芸県と言われる証しである。

県内でも筆頭は熊本市。スイカ、メロン、トマトなど多くの果菜類などが生産され、例えば、スイカは熊本市を代表する品目として栽培面積が約520ha、誰が食べるのだろうと思う位の大玉、小玉のスイカが約1万6千t (推定350~400万個) 生産されている。この中心地が「日本一のスイカの名産地」と知られる植木町。スイカ作約200haをはじめ多品目の果菜類が栽培されている。この町で、スイカ、キュウリ、ピーマン、ナスといった品目を導入し、周年施設園芸で人にも環境にもやさしい経営をめざしておられる井村さんご夫妻を紹介する。

就農して25年、当時は町ぐるみスイカばかりで
平成5年、21歳で就農し今年で25年になります。当時は、ハウスでスイカ作2ha程度を中心に、雨よけキュウリなどを栽培していました。でも、スイカ作は、ハウス内に幾重にもカーテンやトンネルを張るため、狭い空間での定植、整枝、交配や防除作業などまさに重労働。収穫作業も1玉、1玉が重く、収穫運搬する作業は足腰にも大変な負担です。また、収入も1回きり、収穫時のみしか得られず、病害虫や災害などでの収量減や販売価格の下落がとても心配でした。
平成8年結婚を契機に、スイカ中心の経営から、毎日出荷し換金できる軽量作の導入とリスクの分散も考え、しだいに、キュウリ作の面積を増やし、新規にピーマン、ナスを導入して、周年栽培を目指してきました。
とは言っても、スイカは、日本一の産地ですから、そう減らすわけにはいきません。

今年の作付けは、ビニール連棟ハウス90a、単棟ハウス60aの150aをフル活用し、スイカ(植え替え栽培や単棟1作などで150a)、ピーマン(促成作20a・夏秋作10a)、キュウリ(春夏作30a、抑制作10a)を予定しています。昨年まで、ナスの促成作も取り組んでいましたが、花の交配作業などが必須で労力に無理が出てくるため今年からやめました。労力は、両親と私たち夫婦の4人で安定した雇用も難しく、忙しい毎日ですが子育て真っ最中ですので頑張っているところです。

地域全体・ハウス周年栽培で病害虫防除がより問題に
私が就農した平成6年頃には、地域でも、難防除害虫であるミナミキイロアザミウマやタバココナジラミなどの発生が問題となっていました。我が家でも、収穫間近のスイカ果実のお尻に、アザミウマが群がりお尻は、シマシマのスジ模様となり、ひどいとブヨブヨと柔らかくなり出荷もできません。もちろん、ピーマンやキュウリでもこれら害虫が絶えず、コナジラミも目や鼻に入るほど多発します。

平成10年以降、これら害虫がウイルス病も蔓延させるということもわかり、なお一層大問題となってきましたがなかなか防除ができません。しかも、地域全体が、スイカはじめ多品目のハウスでの周年栽培が進み、1年中害虫がハウス内外で発生し途切れることがなく、地域をあげて「害虫を入れない・出さない・増やさない」をモットーに、防虫ネットの設置、収穫終了時のハウスの完全閉め切りと蒸しこみや化学農薬防除の徹底などに取り組んでいましたがなかなか成果が上がりませんでした。また、0.4㎜の防虫ネットを張ると、春先から初夏の収穫最盛期は、暑くてとても耐えられない作業環境になります。現在、IPM技術として、ヒートポンプを設置、0.4mm目の赤いサイドネットを張り、天敵を導入するなど取り組んでいます。

スワルスキーとの出会いは4年前
植木町でも、大長ナス栽培農家で天敵利用が始まる中、私も、アドバイザーの方に「騙されたと思って使って見らんね」 と言われ、ピーマン、キュウリ、ナスにスワルスキーに利用しはじめました。化学農薬だけに頼っていたので、小さなスワルスキーが発見できず思わず不安になり「本当に防除できると??」と疑問を投げかける日々でしたが、害虫は減るし農薬の散布回数も大幅に減りました。これには家内も大喜びで 「スワルスキーを入れる前までは、1週間に1回は農薬散布をしよったのに、今は月1回位の散布で他の仕事ができるもんね。経理担当からすると、殺虫剤も1週間に1回散布すると何万円もかかり、スワルスキーの方が経費も安くなるね」 と大絶賛です。現在、促成ピーマンで利用していますが、昨年の11月14日に放飼した後、もう2か月殺虫剤は散布していません。

ただ、放飼時期には悩みますね。今年のピーマンは、10月25日と定植が遅れ、気温が下がるので秋はやめて春に放飼を考えていたのですが 「遅くなっても、年内放飼がスワルスキーも徐々に増えていいですよ」とアドバイスを受け、やってみましたがスワルスキーが葉にも花にもいてくれて害虫は殆ど見られず安心しています。
また、昨年、夏秋ナス栽培をしていたころ、ハダニが多発して防除に悩んでいましたがスパイデックスを紹介され、放飼したらハダニがいなくなり効果てきめんでした。
ルーペは離せませんね。家内と2人で観察しあっては 「ここにいる」 と声を掛け合い、単純な管理作業も面白くなってきます。

「だろう散布」 と 「ついつい散布」 で失敗も
一番失敗するのが「農薬の使い方」です。これまでが薬漬けでしたから、害虫がいなくてもついつい予防的に殺虫剤を散布してしまい  「まだ薬はふらんでもよかばい!!もうちっと我慢しなっせ」 と家内から怒られます。また、アリスタから「農薬影響表」などもいただいており、いつも参考にしていますが、忙しい時には、確認もせず 「大丈夫だろう」 との思い込みで、農薬を使ってしまい失敗したこともあります。以前、促成ナス作でネオニコ剤を散布してタバコカスミカメが全滅したこともありました。ただ、全作通じての問題はうどんこ病。なかなか抑えきれず、特にピーマンは発生すると黄化・落葉して被害も大きく、防除法に工夫を重ねていますが困っています。

今年からスイカ作でスワルスキーに挑戦
スイカ作でスワルスキーが利用できればと思っていますが 「スイカの作期が1作だと3か月程度と短いことや農薬散布がそう多くないこと。近所の農家試験でアザミウマが多発し失敗したこと」 などから躊躇していました。でも、他地域で 「スイカの植え替え栽培や2番果採り栽培方式」 などの長期採りで成功しており、天敵を入れる前の防除を徹底すればうまくいく事例が増えていると聞き、今作から私も挑戦してみたいと思っています。とにかく、スイカではアザミウマやコナジラミにやられた苦い経験がありますので、指導機関の方々と相談し、害虫を念入りに見ながら取り組んでいこうと思っています。息子も、今年から県立農業大学校に入学する予定で、将来一緒に農業することを家内共々楽しみにしています。

井村さんご夫妻・共に明るい議論で、作つくりの研究を!!
井村さんご夫妻・共に明るい議論で、作つくりの研究を!!

ルーペでのピーマンの葉裏や花の観察に余念がない井村さん夫婦。
ルーペでのピーマンの葉裏や花の観察に余念がない井村さん夫婦。
「ルーペを使わんでも私はスワルスキーが見えるよ」と奥さん。

ハウス全景 谷部・サイドに0.4ミリの赤いネットを張りアザミウマの侵入を防ぐ
ハウス全景 谷部・サイドに0.4ミリの赤いネットを張りアザミウマの侵入を防ぐ

加温はヒートポンプ主体で一定の温湿度で病害抑制
加温はヒートポンプ主体で一定の温湿度で病害抑制

スワルスキーをピーマン定植後20日目の11月14日に放飼、株元にはうどんこ病予防のための硫黄粉剤50
スワルスキーをピーマン定植後20日目の11月14日に放飼、
株元にはうどんこ病予防のための硫黄粉剤50

ハウス内の休憩室には、天敵農薬影響表やルーペを置いて!!!
ハウス内の休憩室には、天敵農薬影響表やルーペを置いて!!!

今作からスワルスキーの利用を予定しているスイカハウス。
今作からスワルスキーの利用を予定しているスイカハウス。
天井含めて4重のビニールを展張。


※2018年2月14日現在の情報です。製品に関する最新情報は「製品ページ」でご確認ください。