ハダニの発生については、スパイカルEX+スパイデックス同時放飼区では、1月下旬から発生が見え始めたものの、追加放飼後も低密度で経過し、良好な状態でした。
一方、スパイカルプラス+スパイデックス同時放飼区では、12月上旬からハダニが一気に増え始めたため、1月中旬に前倒しでスパイデックスの追加放飼をしました。放飼時にハダニが増加傾向にあったため、ダニサラバフロアブル散布後、さらに2回目のスパイデックスの追加放飼をし、3月上旬以降、チリカブリダニが定着し、やっとハダニの密度が低下しました。結局、放飼後のハダニに対する効果が緩慢で、初期のハダニの発生を抑えるまで至りませんでした。本区の天敵放飼後の化学農薬・非化学農薬の散布回数はそれぞれ2回、天敵の追加放飼が1回多くなりました。いずれの区でも栽培終了期までミヤコカブリダニの定着が確認できました。
以上の結果から、イチゴの本圃におけるミヤコカブリダニ製剤はボトル製剤のほうが有効であると結論付けています。その他の事例でも同様の結果が出ています。
何故、ボトル製剤の方が有効なのでしょうか?その理由は以下のように考えられます。
ボトル製剤では、約1.5~2m間隔で放飼することを推奨しており、10a当たりの放飼箇所数は約400箇所と考えていますが、パック製剤の場合、10a当たり約100パックしか置けないため、パック間の距離が8~10m空いてしまうことになり、ハダニ発生箇所への天敵の到着が遅くなります。この状況を図に示すと以下のようになると考えられます。