アリスタ通信 〈コラム〉ハマキ天敵 輸出用お茶などで注目
 
 
〈コラム〉ハマキ天敵 輸出用お茶などで注目
 
アリスタ ライフサイエンス(株)
技術顧問 和田哲夫

お茶のハマキガ対象の微生物殺虫剤「ハマキ天敵」(ハマキムシだけに感染する)が、輸出用のお茶で使われており、今年も使用面積が拡大しています。

鹿児島県の輸出用茶園では数年前から使われてきていますが、今年は京都の茶園でも、輸出用のお茶で使用する茶園が出てきました。残留が問題になる茶葉では、ハマキ天敵は重要な生物的防除の手段となります。年間を通じて使用できるので、秋の越冬するハマキガに対して散布することにより翌年のハマキガの発生を減少させることがわかっています。

今後、リンゴも輸出されるようになると、リンゴの輸出用果樹園で使用されることも期待されます。欧米では、果樹での微生物殺虫剤が多く使われており、リンゴでのハマキガやコドリンガなどがその対象です。

以下は20年以上前の試験結果ですが、現在でも示唆に富む内容と考えられます。

〈コラム〉ハマキ天敵 輸出用お茶などで注目


ハマキ天敵の残留活性の季節的変動

一般にハマキ天敵等の天敵ウイルス製剤は、太陽光線、特に紫外線により失活しやすい性質があり、チャノコカクモンハマキに対するハマキ天敵の活性は5~7月では7~10日程度で失活する(野中ら、1994)。

また、ハマキ天敵散布14日後のGV(ハマキ顆粒病ウイルス)罹病率は、8月散布では1%程度と低いが、10月散布では58%と高いことから(浅野ら、2002)、紫外線量が多い春期~夏期よりも紫外線量が少ない秋期の方が、残留活性が高いと考えられる。

秋期のチャノコカクモンハマキの発生はダラダラと長期間にわたる場合が多いが、越冬世代の散布時期である10月中、下旬は、第1世代散布時期である5月上、中旬よりも長期間にわたってGV活性が高いため、幼虫のふ化時期がある程度ばらついてもGV感染率の低下は小さいと考えられる。
〈コラム〉ハマキ天敵 輸出用お茶などで注目
これらのことから、第1世代での散布が困難な地域や圃場におけるハマキ天敵の使用方法としては、越冬世代幼虫を対象とし、発蛾最盛期の10日程度後に散布することで、第1世代散布同様の高い防除効果が得られ、実用性は高いと考えられる。

※2017年8月9日現在の情報です。製品に関する最新情報は「製品ページ」でご確認ください。