アリスタ通信 コパート天敵昆虫勉強会と現地グリーンハウス見学会報告
 
 
コパート天敵昆虫勉強会と現地グリーンハウス見学会報告
 
アリスタ ライフサイエンス(株) トモル ソロンゴ
和田 哲夫 補筆

本年 5/14~19にオランダのコパート社で天敵昆虫などについてのセミナーが開催されました。オーストリア、オランダ、エクアドル、コロンビア、中国、アメリカ、南アフリカ、ロシア、スペイン、トルコ、エジプト、チュニジア、ドイツ、ケニア、エチオピア、日本の16カ国から参加があり、天敵利用が世界的に進んでいることがわかります。温室がある、果菜類の栽培が重要な国からの参加が主です。
写真1. コパート(Koppert) 本社   
写真2. リモニカスカブリダニ
写真1. コパート(Koppert) 本社 
写真2. リモニカスカブリダニ

コパート社は、現在全世界で1200人の従業員、うち300人の技術コンサルタントを擁し、世界の多くの国でコパート製品を販売しています。

世界で350種類の天敵と200種類の天敵微生物が知られている中から、コパート社は35種類の天敵昆虫と6種類の微生物剤を実用化しており、これは世界のトップレベルであることは言うまでもありません。以下でコパートが有するIPM関連の製品群とその講義内容を少し紹介致します。

① NatuGro(ナチュグロー) コンセプトのなかでのバイオスティミュラント  (作物の健全性を重視)
コパート社が提唱する、NatuGroのコンセプトは作物の健全性に着目する新しい考え方です。作物が病害虫にさらされるのは、そもそも作物がどこかで健全性に問題があると考え、健全な植物を維持しようという考え方。つまり病害虫に侵入される前に植物を健康にしてくため、バイオスティミュラントを利用しようという考え方です。コパートのバイオスティミュラントの分野は毎年10%以上売り上げが伸びているとのことです。またムギ、大豆、トウモロコシにおけるトリコデルマ菌を含むいくつかのバイオスティミュラント剤による種子処理が注目を集めています。
コパート(Koppert)社 天敵昆虫勉強会と現地グリーンハウス見学会報告
   

エンストリップ エルカード
② 天敵各種・マルハナバチ  天敵昆虫についての各種情報の講義がありました。トマトでの使用の場合、葉かき作業による寄生幼虫の持ち出しに注意してください。通常葉は18~20枚を残すようにします。もしくは葉かきしない株を設けると良いようです。


 
リモニカ
スワルスキーとの併用は勧めていません。試験結果では1種のみを導入するほうが天敵の増殖が良いようです(ピーマンでの試験データあり)。ナスでの定着があまりよくない傾向があります。

Q1:スワルスキーと比べホコリダニの発生が問題にならないか。
A1:導入するリモニカ数によります。

Q2:リモニカの主な推奨作物について
A2:主に花き類。特にバラのアザミウマ・コナジラミ防除に高い効果を示しています。ガーベラ、イチゴ、キュウリでも高い効果を示しています。

リモニカ


 
MACRO-MITE
アザミウマの蛹やクロバネキノコバエの天敵。
製品は5万匹の天敵が増量剤のバーミキュライトが1~2ℓぐらいの大きなボトルに入っています。運送は他の天敵と同梱不可で別途包装することになっています。
MACRO-MITE


 
カイガラムシの天敵
カイガラムシの天敵。
成虫剤はよく移動して動きが活発。
そのため局所的に発生した場所は幼虫剤が向いています。
上記2種(緑色の四角枠)の製品は、まだ日本では登録されていません。
カイガラムシの天敵


 
ナチュポール
現在約100種類の作物でマルハナバチ 『ナチュポール』シリーズ が使われています。普及率の多い順でいうと ①トマト ⇒ ②ベリー類 ⇒ ③stone fruits(梅、モモなど) ⇒④ウリ科作物 ⇒ ⑤種子生産(近年)もっとも必要とする作物は、トマトとブルーベリー(1群/10a)。近年はリンゴでの使用も増えています。日本でクロマルハナバチが、ブルーベリーで多く採集されたことと合致します。
品質管理についての講義もありました。在庫中はもちろん、活性の高い状態でお届けできるよう、輸送中の温度、湿度、CO2濃度などを測っています。


パプリカ法人とラン法人の現地視察も勉強になりました。パプリカ法人は2つの大型ハウス、合わせて2haの面積で栽培しています。収穫量35kg/㎡。栽培初期にアグリメックなどの化学農薬を3剤使用し、その後は天敵のみ使用。うどんこ病は発生がなく、発生率も日本と比べ少ないようでした。導入天敵は日本とほぼ同じです。
パプリカ法人とラン法人の現地視察


 
ランの法人は過去2年化学殺虫剤ゼロ。防除コストは上がりましたが、オランダでも進んでいる農場です。
製品は主にヨーロッパ各国に輸入していて、農薬削減の部分で付加価値をつけてもらっています。平均28℃で栽培しています。

使用製品はバイオスティミュラント、スワルスキー、マイコタール、ホリバー、ENTOMITEなど。
※ENTOMITE(右図)は日本ではまだ未登録です。
パプリカ法人とラン法人の現地視察
ENTOMITE
   

※2017年8月9日現在の情報です。製品に関する最新情報は「製品ページ」でご確認ください。