アリスタ通信 新しい農業と「バイオスティミュラント」の必要性について(1)
 
 
新しい農業と「バイオスティミュラント」の必要性について(1)
 
アリスタ ライフサイエンス(株) 須藤修

2011年、世界の人口は70億人に達しました。現在のところ、2050年には90億人を超えると予想されています。

これに対し世界の農地面積には限りがあり、世界的な食料不足の懸念を払拭することができません。

この食料不足の問題を解決するためには、農耕地を再び拡大していくか、可能な限りの技術を駆使して、より効率的な農業生産を実現していくか、この2つの選択肢しかありません。

海のない地球の様子CG
海のない地球の様子CG

農耕地に関して言えば、増やすどころか年々減少傾向にあるため、私たちにできることは、必然的に効率的な農業生産を目指す道しか残されていないことになります。

しかし、これは言葉で言うほどたやすい事ではありません。

農産物の生産ロスを減らすための施策としては、従来様々なことに注力してきました。
その一例を次に示します。

・病気、害虫、雑草の害を軽減し、作物を健全にする。(農薬)
・植物にとって最適な肥料や栄養管理を行う。(肥料)
・肥沃で健全な土壌を維持するための土壌改良技術。(土壌改良資材)
・人工的気象条件を作る施設。(施設栽培および人工環境制御)
・労力軽減のための機械化を進める。(農業機械、農機具)
・より多収でストレスに強い品種へ改良、あるいはバイオテクノロジーによる挑戦。(育種、遺伝子技術)
・水を効率的に確保する技術。(灌漑技術)

これほど様々な角度から農業生産の効率性を追求してきたにも関わらず、世界的には近年の地球温暖化による異常気象や、無計画な灌漑による塩害や砂漠化など、過去には予測もできなかった未解決の問題が農業生産の効率化を阻んでいます。

農作物は常に外部からのストレスに晒されながら成長を続けていますが、過剰な温度ストレス(高温、低温、霜、凍害)や日照ストレス(低日照、日焼け)により、ごく普通に命に関わるダメージを受けているのです。
新しい農業と「バイオスティミュラント」の必要性について(1)

その他、水ストレス(乾燥、浸水害、湿害)、塩ストレス (塩害、塩類集積)なども無視することはできません。昨年の北海道の湿害で大きな被害が出たことは記憶に新しいところです。

このような農業をとりまく環境の中で、近年 「植物が本来持っている能力を引き出し、植物の活力や収量、品質、収穫後の鮮度保持能などを改善させよう」 という技術に注目が集まってきました。

この技術を利用した製品群を 「バイオスティミュラント(Biostimulant)」 と呼んでいます。

実はバイオスティミュラント自体は、さほど目新しいものではなく、古くから農家が伝承的に使用していた資材も含まれています。近年の植物生理学の進歩により、ある種の天然素材が植物の環境ストレス耐性を強化することもわかってきました。その作用機序を再評価することによって、今バイオスティミュラントは大きな注目を集めるようになりました。

長年経験的に使用されている農業資材にも科学のメスが入り、その有効性が証明されてくるケースも見受けられます。 

次号より、バイオスティミュラントの定義や種類、効果について、諸外国の動向もご紹介しながら、バイオスティミュラントとは何かを説明していきたいと思います。

どうぞご期待ください。

新しい農業と「バイオスティミュラント」の必要性について(1)

※2017年4月27日現在の情報です。製品に関する最新情報は「製品ページ」でご確認ください。