1990年初期には、まだ地域ごとの生物防除団体で成立していたのは、米国で一つ、EUで一つ、日本で一つ、ヨーロッパでは学術的な会であるIOBC(国際生物防除機構,The
International organisation for Biological
Control)があるだけでした。
会員数も米国は若干多かったのですが、日本もEUも10社程度だったのです。(2000年ごろの話です)
今年の10月スイスのバーゼルで開催されたIBMA(国際生物防除剤工業会,International
Biocontrol Manufacturers Association)の総会であるABIM(生物防除国際会議,Annual
Biocontrol Industry Meeting, 11回目)には、なんとIBMAの会員数は200社以上、参加者は900人(3日間開催)とまさに隆盛を極めていました。
これに対し、わが日本は、日本バイオコントロール協議会と日本微生物剤協議会が今年合併し、日本生物防除協議会が発足したのですが、それでも正会員は10社以下で、大きく水をあけられています。
これに加え、米国では、BPIA(Biopesticide Industry
Alliance)という業界団体までできていて、そちらの会員は100社、以前あったANBP(Association
of Natural Biocontrol Producers, どちらかという天敵昆虫がメイン)も40社程度の会員が参加しています。
また今年から世界の生物防除団体の連盟を作ろうということで、BPG(バイオプロテクショングローバル)という団体まで作るようで、そこには、南米とアフリカの生物防除団体も参加していました。
今、日本も誘われているところです。
この差は一体何なのか、会員を分析してみたところ、バイオスティミュラント剤の会社が多く参加していること、アメリカもEUも化学農薬会社がほとんど参加していること、生物防除の会社が多いこと、インド・中国などからも会員がいるというようなことが理由でした。
日本はまだ少なく化学農薬がメインで会員であるのは、アリスタと住友化学、協友アグリ、SDSバイオテックの数社くらいです。
もちろん米国とEUとは、面積、国の数が違うので日本が少ないのは当たり前ながらも、今後は日本の農薬会社、生物防除会社、バイオスティミュラントの会社、韓国・台湾・中国などからの会員も増やして、欧米に遅れをとらないアジア諸国の先導を日本ができれば素晴らしいことと思います。
上記の団体のHPを見るとどのような会社が参加しているのかわかり、今後の生物防除の方向性も見えてくるように思えます。