以下は、米国コーネル大学、米国農務省、イタリアの研究所よりの共同報告です。
トリコデソイルが植物の生育に良い影響を与えるのはなぜか?
糸状菌トリコデルマ ハルジアナム T-22株(以下、トリコデソイルの菌)については、シャーレ試験において、水に溶けにくい(不可給態)肥料やミネラル成分を可溶化していることが近年の研究で明らかになってきました。
可溶化のプロセスは、①土壌の酸性化、②キレート性のある代謝物への変換、③酸化還元反応の3ルートであると考えられます。
具体的には、二酸化マンガン、亜鉛、リン酸カルシウムをショ糖・酵母培地でトリコデソイルと同時に培養すると、それらの金属酸化物の状態のものが可溶化していることが機器分析で確認することができました。
また液体培養においては、トリコデソイルの菌は、三価の鉄イオンや二価の銅イオンを還元し、拡散性のあるナトリウムやフェニール基などから構成される代謝物をつくっていることが分かりました。
これらの可溶性に関する試験結果は、トリコデソイルが植物の成長に関与する作用があるということを示していると言えます。
金属酸化物の可溶化は、それら微量物質のキレート化と還元(脱酸素)などによりもたらされます。微生物によるキレート化と還元作用(リダクション)が、様々な環境条件において、適切な栄養供給の実現に役立っていることが解明されてきています。
上記のように最新の研究では、トリコデソイルの施用により不可給態の成分を植物が吸収可能な形態に変換できることが解ってきました。特に関東地方などに広く存在する「黒ボク土」においては、そのアルミナ成分がリン酸肥料を吸着するため、リン酸不足に陥りやすいのが一般的です。また畑の土に存在する鉄のほとんどは植物が吸収することのできない三価の鉄であると言われています。
トリコデソイルにはこれらの問題を軽減、解決できる微生物のパワーが秘められています。