ハダニの生物防除・・・天敵2種のチームワークによる好結果
(2010年2月号より)
スパイカルEXのような「広食性待ち伏せ型」に分類されるカブリダニは、ハダニとそれ以外の花粉のみならず、スリップスの幼虫やホコリダニも捕食します。スパイデックスは「選好性の強い探索型」に分類され、ハダニの近くあるいはハダニの作る蜘蛛の巣状の網のあたりをうろうろする習性があります。スパイデックスはテトラニカス属のハダニ以外では生存も増殖もできません。
スパイカルEXの大きな特長は、(1)餌がなくてもある期間生存できる、(2)ハダニが少ない場合、他の餌、餌動物を摂食することができるという点です。水だけしか、与えられなかった場合、スパイデックスは6日間しか生存できないのに比べ、スパイカルEXはなんと22日間も生存できることが確認されています。
このためスパイカルEXはハダニ密度が低いときに放飼するのに適しており、予防目的に放飼することも可能です。ただしスパイカルEXはスパイデックスに比べると、捕食するハダニとその卵の数は劣ります。
スパイデックスはハダニを食べつくすと、餌がなくなるため、絶滅してしまいます。このため再度、ハダニが発生した場合は、再放飼が必要になるのです。
オーストリアのバラの温室では、スパイデックスとスパイカルEXの組み合わせ放飼が行われています。
この結果、シーズンを通して、ハダニの密度は一定以下の害を及ぼさないレベルに抑えられました。一方で、両方の種類を使わなかったハウスでは、化学農薬による追加散布が必要となりました。
マルハナバチは果樹、ウリ類でも好結果
(2009年4月、6月号より)
トマトなどの果菜類では、低温や低日照のために生長が遅れたり、開花に影響がでたりすることがありますが、ナチュポールはそのような悪条件下でもよく働き、ヨーロッパの生産者から高く評価されています。果樹における開花初期の受粉もちょうどシーズンに入ってきていますが、マルハナバチはきわめて有用です。
ウリ類で10アールあたり2-3箱のナチュポールを導入することをヨーロッパでは勧めています。また野外のズッキーニ(キュウリ、ウリも同様)の受粉でもマルハナバチはミツバチより効率よく受粉することがオランダでの試験で判明し、秀品率の向上にもつながっております。日本ではクロマルハナバチも使うことが可能です。
一般に低温期の果樹、果菜類の受粉は10℃でも働けるマルハナバチを使うと、より秀品率をあげることができます。毎日観察しているとわかりますが、マルハナバチは巣箱より50m以上飛ぶのが普通です。このズッキーニやキュウリを受粉させるときは、砂糖水は取り外してください。これはより働き蜂に労働意欲を与えるためです。野外での試験結果では2ヶ月受粉活動することが認められました。
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