本年は、促成栽培向けの売り切りもしくはレンタルの花粉交配用ミツバチの不足が懸念されています。
すでに、販売メーカー等からはおよそ6~10%の値上げをJAなどに通知されたり、ある県の養蜂組合でも「貸しバチ」とよばれるレンタル料金についても値上げを決めたところもあります。
原因は春の野山に咲く花の開花不足(=資源不足)や夏期の巣箱の転地先である北海道への度重なる台風の上陸などが推測されます。
現状では、花粉交配用のミツバチの高騰、不足に対する懸念が広がりつつあります。
当社では以前より、促成栽培イチゴでの厳寒期におけるミツバチの活動不足を補うために、在来種クロマルハナバチを併用して奇形果の軽減や、増収などの技術を普及してまいりました。
マルハナバチはもともと温帯の北部域に分布の中心を持つことから、その生態は冷涼な気候に適応したものとなっています。低温、低照度でも活動できるその習性は、促成イチゴの厳寒期における低温や天候不順での受粉に大きく役立ってくれます。
もともとトマトでの利用の印象が強いマルハナバチですが、トマトよりも蜜も提供してくれるイチゴの方がマルハナバチにとっては活動しやすい作物です。
ミツバチに比べると働き蜂の数は10分の1以下ですが、一匹の働き蜂が一日に3,000花もの花を回ります。一巣箱当りで外勤活動する働き蜂の数はおおよそ10~20匹程度ですが、一匹の働き蜂の活動量を考えると一巣箱で20aのイチゴ圃場を受粉させることができます。
また、ミツバチと違い3棟程度のハウスを順番に移動させながら利用するローテーション利用や、花が少なく過剰に訪花してしまうなどの理由から活動を休ませたいときなどは、農薬散布のときと同じ要領で休ませながら数日おきに利用することも可能です。
マルハナバチの巣箱はミツバチと異なり一巣箱の利用期間は1.5~2ヶ月程度と短いので、一番効率的な利用方法としては12月下旬頃から導入を始めて、1月から2月いっぱいまで利用できれば一番花と二番花の間や二番花のトップ花の収量を安定させることができると思います。
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