スペインのイチゴでの生物防除
スペインのトマトやピーマン、キュウリ、ナスなどのハウス栽培での病害虫防除が天敵昆虫や微生物によるバイオコントロール(生物防除)で行われていることは、いまでは誰でもご存知のことですが、半野外での天敵利用は遅れていました。
近年、スペインの半野外(日本の春以降の開放したハウスに近い)のイチゴでも天敵利用が開始され良い結果が得られたということです。
フレソン(イチゴ)・デ・パロスというスペイン南西部(ジブラルタルの北西、ポルトガルとの国境に近い)の農業法人では8年前より残留の少ないイチゴ、ブルーベリーなどのベリー類の生産を目指していました。
Zerya (ゼリヤ)というブランドで2014年のシーズンで同社の防除方針によるテスト生産が実施され、2015年より全面的に生物防除が利用されるようになったということです。
果実の品質も高く、より自然に近い状態で栽培され、残留値は0.01PPM以下に抑制することができたということです。(農薬散布は必要に応じて実施しているが、初期および散布回数も少ないと推定されます。)
同社によるこの残留値保証のイチゴなどは現在130ヘクタールで栽培されているということです。(この地域のイチゴの面積は1200ヘクタールですので10%強の面積です)
収穫量も減少しなかったということです。
イチゴでの天敵利用は、カリフォルニアのイチゴが世界で一番早く普及した産地ですが、ヨーロッパでは遅れていました。日本は米国に次いで二番目にイチゴでの天敵利用が進んでいる国です。これは日本のイチゴ品種、イチゴ栽培の技術が先進的であることと関係あると推定できると思いますがいかがでしょう?
なおイタリアのイチゴでも天敵利用はかなり進んでいるということです。スリップスの問題も解決済みとの報告がありました。国によって昆虫相、栽培時期が異なるので一概に日本に当てはめることはできないこともありますが。
スリップス防除のための土壌表面への資材投入効果について
(ワーゲニンゲン大学研究報告より)
ククメリスカブリダニを利用する場合、高い湿度や米ぬかを通路にまくことで効果が上がることが日本でも以前から知られていました。
今回オランダの温室栽培技術ではトップを行くワーゲニンゲン大学より同様の、しかしより示唆的な報告がありました。
ククメリスの餌は、主にコナダニですが、そのコナダニが存在することでククメリスの効果が安定します。(安定した餌の供給によるククメリスの密度の維持)
今回試験された資材は、フスマ(ブラン=各種穀物のフスマと推定されます)、あらびき小麦(ミドリング=フスマと二級品の小麦を混ぜたもの)、トウモロコシのグルテン、各種のコンポストなどです。
以上のなかでもっとも効果が高かったのは、パン酵母とフスマを撒いたケースでした。
実際問題として、湿度とどの程度酵母を散布するかについて、湿度は55~75%程度は必要であり、資材を散布するにあたっては、部分的に処理してもククメリスがハウス内全体に広がることができないので意味がないということが判明しました。
なお上記試験はトルコギキョウでの試験例によるものです。
イギリスのスーパーマーケットのトマト
イギリス中部のダービー県(shire)のスーパーLidl(リドル)で買い物をしていた84歳の主婦
ジューン・パワーズさんは、野菜を買おうとしていたところ通路に落ちていた割れたトマトに踵を乗せてしまい、転倒。腰の骨を骨折した。
救急車で運ばれたパワーズさんは、すぐに腰骨の交換手術を行ったが、その後数ヶ月動くこともままならず好きな園芸もできなくなった。
スーパーはパワーズさんに425ポンド(約8万円)の手術費用を支払ったという。
このニュースについてのコメントは以下の通り。
○400ポンドは安すぎる。5万ポンドは請求できるはず。(1000万円)
○スーパーはトマトを落ちにくい棚に置いたほうがいいだろう。
○トマトが落ちたのはスーパーの責任ではない。
○パワーズさんは「スーパーでは値札をみているので、床を見ることはない。清掃をきっちりやってほしい。」とのコメントでした。
(訳者註: このニュースは事実ですが、スーパーなどにも役に立つジョークのつもりですので、御諒解ください。なおイギリスではトマトをフライパンで焼くベイクト・トマトが人気のようです。日本ではあまり見ませんね。)