オランダの中古の温室で塩味の野菜サリコニア(シーアスパラガス)を栽培
「温室栽培に適している新しい野菜は?
健康に良い成分をより多く持つ野菜への要望が多いので、オランダの小さな露地農家ではサリコニアという名前の野菜(和名
厚岸草(アッケシソウ)、シーピクルスとも)を5年前から栽培していましたが、最近温室でサリコニアを栽培することを決断しました。
サリコニアとシーラベンダー(リモニウムの一種 イソマツ属 日本では花が綺麗なので鑑賞用)という野菜への需要が伸びているというのです。栽培期間を延ばすため、無加温の中古の温室をまず利用しはじめました。」(園芸ニュースHortidaily
9月号)
ニッチなマーケット
オランダの温室建設会社であるデベッツ・スカルケ社によると、
「昨年以来、新しい野菜の栽培用の温室建設が増えています。その理由として
1.小型の温室で生産量は十分であること。
2.中古の温室で可能であること。
このため、投資金額が少なくて済むというものです。」
新しい野菜や、ハーブ、クレソン、海草などでの需要が増えているようです。それぞれのプロジェクトの中身は少しずつ異なっており、消費者のニーズに合った作物生産を行おうとしています。
作期を長く
オランダの中古温室の軒高は、4mで、天窓はトップにあります。中古温室のメリットはすぐ栽培を開始できることです。この温室の面積は2反であり、日本のサイズと変わりません。
オランダのサリコニアとシーラベンダー
「この2種類の野菜はよく知られていますが、塩分のある野菜です。特にレストランでシーフード料理のつけあわせ野菜として使われています。
生でサラダとして、またバターと一緒に熱を加えることもあります。クランチーで塩気のあるサリコニアと、甘くホウレンソウのようなシーラベンダーは高級シーフードレストランで人気が出てきています。
サリコニアはオランダ北部のゼーランド州やワッデン海方面で自生しています。通常は5月から8月にしか収穫できませんが、フランスから輸入されることもあります。棚もちは4~7日程度。オランダの北東部のゼーランド州の沼沢地、運河沿いなどで
栽培されてきました。90%がサリコニア、残りがシーラベンダーです。サリコルニアの価格のほうが高いことがその理由です。現在オランダでのサリコニアの生産者は7~8割が農家で、ほとんどがオランダ南西部で栽培されています。
この2種類の野菜、昔は貧しい人々の食料だったため近年のメニューから消えていたのですが、また最近多くの種類の野菜が栽培されてきているなかで、復活してきています。現在、野生のサリコニアを採取することは禁じられています。希少種なのです。そのため、価格も高く、多くは現地で消費されています。そのなかで重要なことは、品質とサービスと安定出荷、“特別”であることを理解してもらうことです。
サリコニアについては、かなりの量がフランスから輸入されてきます。オランダと栽培時期は重なります。オランダで栽培できない期間はイスラエル、メキシコ、ポルトガルから輸入されています。オランダの温室で栽培することにより、オランダ産サリコニア、シーラベンダーの生産量が上がることが期待されます。やはり国産品が好まれますので。」