2. 天窓の防虫ネット
IPM(総合的病害虫防除)は、害虫を外から入れないことから始まります。
病害虫防除の目的で、天敵昆虫や微生物資材はよく利用されていますが、最も単純な解決法が試されていないケースがよくあります。 |
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それは、『害虫が外から侵入して来られないようにすること』です。天窓に取り付ける折りたたみ式の防虫ネットはもっとも興味深い解決法のひとつです。
オランダからの報告
防虫ネットは研究開発用の温室のためだけではありません。(オランダでもまだ全てのハウスで使用されているわけではないことを示唆しています。)
折りたたみ式 防虫ネットのメーカーの担当者は言います。
「生物的防除が広まるにしたがい、この防虫ネットの必要性はより高まっています。特に温室が多い地域においては、近隣のハウスでスリップスやコナジラミが発生してしまった場合、それら害虫が他のハウスに移動していくのは時間の問題です。近年問題化しているピーマンを食害するゾウムシも同様に侵入します。外部からの害虫流入の止めることにより、経済的なダメージを抑えられることが農家に理解されつつあります。防虫ネットによって、高価な天敵昆虫が外部に逃げ出すことも防ぐことができます。この結果、折り畳みネット取り付けのコストを取り返すだけのリターンがあるのです。
天窓などに取り付ける折り畳み式の防虫ネットは東西ヨーロッパ、すなわちオランダ、ドイツ、フランスに加え、メキシコ、米国、カナダで盛んになっています。
オランダの生産者にとって防虫ネットは”必然“の装置となっており、これは、オランダから米国に野菜を輸出するにあたり、米国が植物保護法に則り、輸出国の温室が密閉システム化されていることを要求しているからです。
折り畳み式ネットは外部からも内部からも取り付けが可能であり、古いハウスでも取り付けられるということです。」
(ホーティデイリーより)
(訳者注:近年はハウス内の内圧を外部より 30 パスカル程度あげることにより害虫の侵入を防ぐというシステムも実現しています。電気代がかかるのが難点ですが夏を越せる栽培が可能となり、収量アップで経費を賄うことができるようです。)