② 天敵類に対する影響
本剤はハダニ類・サビダニ類に対して高い効果を示す一方、訪花昆虫であるミツバリ、マルハナバチに対する影響日数は
0 日であり、また、約 20 種の天敵類に対してほとんど影響がないことが認められている(表
4 ※表 4 からは次ページ以降をご参照ください)。さらに、イチゴ等施設栽培現場における導入天敵との体系防除を想定して、2
種カブリダニ類を用いてより詳細な影響検討を行った。
1) カブリダニに対するステージ別影響
チリカブリダニ、及びミヤコカブリダニについて、卵、幼虫、雌成虫の各ステージに対し直接散布したが、実用濃度(200ppm)及びその
5 倍濃度(1000ppm)においてもほとんど影響がなかった(表 5)
2) カブリダニに対する摂食・産卵への影響
マイトコーネを処理したカブリダニを無処理のナミハダニを産卵させたインゲン葉に接種し、カブリダニの摂食量と産卵量を調査した結果、無処理のカブリダニと差が認められなかった(図
1、2)
以上のことから、マイトコーネは、カブリダニの増殖、及び捕食活動にほとんど影響を及ぼさないことが判明している。
3. マイトコーネを用いたハダニ類の防除
マイトコーネとカブリダニを用いたナミハダニの体系防除試験を行ったところ、慣行防除区以上にナミハダニの寄生密度を長期にわたって抑制していた(表
6、図 3)。
本試験はチリカブリダニ(スパイデックス)を用いた体系防除試験であるが、ハダニ以外にホコリダニや花粉等を摂食する広食性の天敵であり、飢餓や高温に強いという特性を持つミヤコカブリダニ(スパイカル)を併用することで、より効果的にハダニ防除を行うことが可能であることが各県より報告されている。
4. おわりに
イチゴ栽培におけるハダニ防除は薬剤抵抗性との戦いであったといっても過言ではない。生産現場に発生するハダニ類は、これまでに登録されたいずれの殺ダニ剤に対しても多かれ少なかれ薬剤抵抗性を発達させてきている。今回紹介させていただいたマイトコーネFLとチリカブリダニ(スパイデックス)及びスパイカル(ミヤコカブリダニ)の体系防除がイチゴ生産者のハダニ防除の一助となれば幸甚である。