農業を始めて約45年、施設ハウスでキュウリ栽培を始めて40年になりました。
昔はコナジラミやアザミウマなど当地にはいなかったのですが、発生後は黄化えそ病、退緑黄化病、緑斑モザイク病などのウイルスを媒介しています。当地域は大型ハウスが多く存在しキュウリの周年栽培もされています。その結果でしょうか、保毒した害虫が多くなっているように感じます。対策に苦労をしているのは私だけではありません。化学合成農薬による防除で効果があるうちは良いのですが、耐性の問題や使用回数の制限などで思うように防除出来ませんでした。
安心で美味しい農産物を作り販売したいという気持ちから、生協との契約や、農薬と化学肥料を半分にする『ちばエコ』に取り組んできましたが、そんな事を継続する事が難しい状況でした。
そのような時にIPM(総合的病害虫管理)の実験圃場の話が県の農業事務所の方からあり、渡りに船、これしかないと決断しました。今年で3年目になりますが今では多くの方々のアドバイスやサポートのお陰で、以前は害虫(チャノホコリダニ、コナジラミ、アザミウマ)などで長期の栽培が出来なかった私が、今では年一作(収穫期間11月~翌年6月)の栽培を目指す事ができるようになりました。
害虫対策として0.3ミリ目の防虫ネット、光反射シートの利用をしていますが、特に効果があったのは天敵の『スワルスキー』の導入です。これによりほぼ実害のない状況にまでなりました。
褐斑病などの病原菌に対しては抵抗性品種の採用、循環扇の利用、湿度管理などをしています。過不足のない肥培管理が重要な事は言うまでもありません。結果として栽培期間の延長、収量の増加、収益の増加が得られました。
効果のあった天敵は生物ですので以前の栽培方法とは異なる面があります。
キュウリと天敵の二つを育てるという事を常に頭に置いておくことがとても重要な事となります。この事を体で覚えるにはそれなりの時間が必要です。新しい作物、新種、技術などやってみなければ理解できない事や失敗は必ずあります。大きな失敗を小さくし、失敗を少なくする為にサポートと生産者同士の交流は欠かせません。
農薬と化学肥料を半分にする『ちばエコ』という制約の中でも十分に採用できる技術でした。又これから先の農業のあり方でもあると思います。皆さんもこの方法を取り入れ農業に取り組んで頂きたいと思います。
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