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イチゴ天敵利用最前線
~イチゴのスパイデックスの年明け追加放飼について~
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前号(特集2.)に引き続き、今回もスパイデックスの追加放飼についての紹介です。
前回は、年内にハダニが発生した場合は、追加放飼の時期を前倒しすることで天敵を早く増殖させて、防除効果を安定させる方法を紹介しました。
今作もハダニの発生は多く見られますが、年内の早い段階でスパイデックスを追加放飼した圃場では、天敵の姿が確認できるようになってきました。ハダニの防除効果を発揮するのはもう少し先になりますが、春に向けてハダニを防除できる環境が整いつつあると考えられます。
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さて、今回は年明けの追加放飼についての紹介です。
イチゴの防除マニュアルでは、1~2月に選択性殺ダニ剤を散布してからスパイデックスを10a当り6000頭(100mlボトル×3本)放飼を推奨しています。この時期の特徴としては、これまでハダニが発生していない圃場でも徐々に確認されるようになり、また、年内からハダニが発生している圃場では、ハダニの被害がさらに増加する時期になります。 |
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ハダニを食べる
チリカブリダニ
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一方で、秋に放飼したスパイカルやスパイデックスがようやく確認できるようになり、徐々に天敵の効果が発揮され始めます。天敵は放飼してから効果を発揮するまでに厳冬期で2~3ヶ月、暖候期で1~2ヵ月かかりますが、これは放飼した天敵が増えるまでにそれだけの時間を要することを指しています。
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◆年明けスパイデックス追加放飼の目的
・既にハダニが発生している圃場では、追加放飼により圃場全体の天敵密度を高めるため
・ハダニ未発生の圃場では、3月以降のハダニ急増期の予防剤として
・秋に放飼した天敵の定着ムラを均一にするため
なお、ハダニ未発生圃場ではスパイカルEXの方が良いのでは?という問い合わせがあります。ハダニが本当にいなければスパイデックスは無駄になりますが、実際には大半の圃場で春にハダニが発生していることを考慮すると、年明けには徐々にハダニが増え始めていると考えられます。「予防剤」としてスパイデックスを推奨していますが、ハダニがほぼゼロの状態であることをご自分で確認できる方は、スパイカルEXを放飼しても問題ありません。
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◆追加放飼の時期
1~2月は天候不順のため、農薬散布のタイミングが難しいと思います。下記を参考に状況に応じて決定してください。
ハダニの発生圃場 → なるべく早めに選択性殺ダニ剤を散布してから追加放飼
ハダニの未発生圃場 → 天候を見ながら、選択性殺ダニ剤を予防的に散布してから追加放飼
毎春ハダニが発生する圃場 →
例年ハダニが発生するタイミングの1ヶ月前を目安に選択性殺ダニ剤を散布してから追加放飼
◆放飼のポイント
・放飼量:10a当り3本が目安です。1本は発生箇所に集中的に放飼し、2本は圃場全体に均等に放飼すると効果的です。
・チリカブリダニはボトル内で偏在する傾向が強いため、放飼前に必ず10~20回ほど回転させてから放飼してください。
・スパイデックスのボトルには中蓋が付いています。放飼後のボトル内部に残っているチリカブリダニが外に出にくいため、放飼後は必ず中蓋を外して圃場に置いてください(下図)。
・放飼後のボトルの置き場所はハダニ発生箇所の近くがお勧めです。
ボトル内部にはまだ多数のチリカブリダニが残っているため、ボトルを置いた場所の周りはスパイデックスを集中的に放飼するのと同じ効果があります。
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以上、参考になりましたでしょうか?
近年は天敵利用の成功率も格段に上がり、天敵を上手に利用している方は、3月以降ハダニにほとんど悩まされなくなります。
ただ、近年は薬剤抵抗性が新たな問題となり、ハダニ防除が困難になりつつもあります。
天敵の一番のメリットは、天敵が十分量増やすことができれば、長期的に優れたハダニ防除効果を発揮できることです。
何かと忙しくなる暖候期に、皆さんがハダニの心配から開放される一助になれば幸いです。
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※2015年1月29日現在の情報です。製品に関する最新情報は「製品ページ」でご確認ください。
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