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生産者の声
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JAみなみ筑後 なす部会 久保 謙一様
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JAみなみ筑後は福岡県南部のみやま市・大牟田市に位置しており、みやま市瀬高地区は特に促成ナスの栽培が盛んであり、生産者約240名、作付面積約57haです。JAみなみ筑後では、昔からタイリク(タイリクヒメハナカメムシ)やスワルスキー(スワルスキーカブリダニ)などの天敵の試験を実施しておりましたが、なかなか全体に普及するには至りませんでした。
しかし昨年、スワルスキーと土着天敵タバコカスミカメの併用によるアザミウマ防除が非常に高い効果を示したことから、今年度は多くの人が取り組まれることとなり、40%以上の方が天敵を導入する予定です。
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今回は、昨年もスワルスキーとタバコカスミカメの併用試験をされた、JAみなみ筑後のなす部会長である久保氏にお話を伺いました。
久保氏は、今回の天敵試験だけでなく、マルハナバチ(ナチュポール)の導入の際にも率先して取り組まれるなど、新しい技術を積極的に試し、良い技術を部会全体に広げるよう活躍されています。
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久保謙一様
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スワルスキーとタバコカスミカメの体系は非常に効果的でした スワルスキーとの出会いは、5年前に試験場や普及センターからの紹介で試験を実施したのが最初でした。しかし、促成栽培のナスでは、スワルスキーが冬場に減り、春先からのアザミウマを上手く抑えられなかったため、普及には至りませんでした。しかし昨年、全国農業システム化研究会でのスワルスキーとタバコカスミカメとの併用試験の事を聞き、興味を持って実施することにしました。
スワルスキーとタバコカスミカメを併用すると、定植後の9月から年内はスワルスキーが増殖・定着してアザミウマを抑えてくれます。温度が下がる冬場にはスワルスキーが減少し、再び増殖するまでに時間がかかりますが、その間はタバコカスミカメがカバーしてくれます。その後気温が上がると再びスワルスキーが増殖し、作を通じてアザミウマをしっかり抑えることができました。天敵を使用しなかった圃場ではアザミウマ剤を22回散布しましたが、天敵を使用した圃場では9月と5月に計3回散布しただけで済みました。防除費用も約半分となり、労力も軽減できましたので、非常に助かりました。
併用できる農薬を組み合わせることで、他の病害虫もコントロールできます スワルスキーを導入すると、天敵に影響のある農薬を使わないように気を使う必要がありますが、かつてはタイリクの試験をしていたこともあり、その時よりは使用できる農薬は多いので、不便には思いませんでした。タバコカスミカメを併用すると、使える農薬が極端に少なくなりますが、アザミウマについてはプレオや微生物農薬のマイコタールによるレスキュー防除で密度を落とすことができます。ハダニ対策としては、10月にスターマイトやダニサラバなどの天敵に影響のない殺ダニ剤を2連続で散布して、しっかり叩くようにしています。コナジラミにはウララやアプロードを使用し、アブラムシにもウララを全面散布することで抑えられます。病害対策は、定期的に散布して予防すれば問題ありません。殺菌剤に葉面散布剤も混用して、植物を健全に育てることも病害の予防に重要です。展着剤も注意する必要があります。スワルスキーに影響のあるスカッシュは4、5月頃からの日焼け対策のために4,000倍程度で少な目に散布することはありますが、頻繁に散布しなければ、大きな影響はないように思います。その時期以外は、影響のある展着剤は全く使わないようにしています。
タバコカスミカメはゴマを播種すると自然に寄ってくるので、それを活用します。ハウスの周りにゴマを植えておくと、その周りにタバコカスミカメが集まるので、侵入するアザミウマを減らす効果も期待できます。タバコカスミカメは、あまり数を入れ過ぎると、ナスにも加害してしまいますが、数を調整して導入すれば問題ありません。その際に、害虫のカメムシ(編集部注 ミナミアオカメムシ等)が侵入すると防除しにくく問題になるので、導入するゴマを目の細かい玉ねぎネットに入れて、害虫のカメムシが出てこないように注意するとともに、もし侵入したときは、早めに発見してスポット防除することが重要です。タバコカスミカメの定着を促すために、ハウスの中にクレオメを植えておくことも重要です。
部会全体での普及を目指したい スワルスキーとタバコカスミカメの併用は、アザミウマの防除に非常に効果的であり、農薬の散布量・散布回数を減らすことでコスト、労力を大幅に低減できますので、是非部会全体に広げていきたいと思っています。失敗しないためには、天敵に影響のある薬を散布しないことが必須ですが、天敵への農薬影響表を持っていても、つい癖で散布してしまう可能性もありますので、部会全体で成功率を高めるためにも、定期的な巡回と直接のコミュニケーションで初めて導入される方を支援することが重要だと思います。天敵の導入により、アザミウマの被害が抑えられますので、作の終盤までナスが健全に育ち、収穫期間を延長することができます。部会全体で取り組めば、市場にPRできると思います。
かつて、マルハナバチ(ナチュポール)を導入した際も、初年度は2、3名からスタートして、翌年は30名程度導入し、その翌年には100名を越えました。産地としての課題は、高齢化への対策と、いかに規模拡大ができるかです。天敵の導入も、これらの課題解決のために重要だと思います。
現在、重油代が高いので、株元加温により管理温度を下げて、重油代を節減する試験もしています。これからも、新しい技術を率先して試験し、良い技術を部会に広めていこうと思います。
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※2013年10月25日現在の情報です。製品に関する最新情報は「製品ページ」でご確認ください。
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