アリスタIPM通信 <海外ニュース>エチオピアのバラ栽培でのIPM実践状況について
 
 
<海外ニュース>エチオピアのバラ栽培でのIPM実践状況について
 
オランダは花の栽培、集散地として有名です。
2006年ごろより、アフリカの高原の国であるエチオピアにおいてオランダの技術指導により、バラの施設栽培がはじまり、防除もIPMで行われています。
現在(2011年)エチオピアには1,000haの花卉栽培の施設が存在します。その多くはオランダ資本によるものです。
 
「見ることは信じること」という諺がありますが、エチオピアのバラでのハダニ防除は天敵生物、すなわち、チリカブリダニ(スパイデックス)とミヤコカブリダニ(スパイカルEX)の放飼で制御されています。


オランダのワーゲニンゲン大学とエチオピアのジンマー大学、エチオピア高地農業研究所(栽培会社でもある)、そしてコパート社の技術陣の協力のもと、バラのハダニのIPMが始まりました。
 
 
エチオピアン ローズプロジェクト
2007年末からヴァランティーノというバラの品種で開始しましたが、当初、ハダニ密度が高く天敵が機能しないため、ゼロ放飼に近い状態にするため、殺ダニ剤であるトルク(日本での登録名はオサダン。販売中止)とニッソランを散布しました。その後、スパイデックスとスパイカルの大量放飼を3回実施しました。ハダニは抑制されましたが、その状態をキープするために、2週間ごとに追加放飼がなされています。
2ヶ所の農園で天敵放飼がなされていますが、昼夜の気温、湿度、雨季条件などについて調査がおこなわれています。

当初の試験結果が良好であったため、現在エチオピアでのバラ栽培でのIPMは実用化しており、エチオピアのバラはオランダの花市場であるアールスメーア経由、世界中に輸出されています。

天敵を利用することにより改善された点は下記の通り。
① より長い茎長
② 蕾の径が大きい
③ 花色および葉色の改善
④ 生産量の増加


エチオピア以外にもケニアのバラや花卉(合計3,000ha)でも天敵利用は進んでいます。それに伴い本国オランダでのバラ栽培は1,000haから200haへ減少しています。オランダより輸入されているバラの多くはエチオピア産やケニア産の可能性が高いわけです。
(オランダのホーティワールド誌2008 vol.8およびワーゲニンゲン大学報告より抜粋)

 
 
※2013年10月25日現在の情報です。製品に関する最新情報は「製品ページ」でご確認ください。