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奈良県におけるカブリダニ製剤を利用した促成イチゴのナミハダニ黄緑型の防除
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奈良県では促成イチゴの栽培が盛んである。しかし、近年、ナミハダニ黄緑型の殺虫剤感受性の低下が進んでおり、化学的防除が困難になりつつある。また、生産者の高齢化に伴い、ハダニ発見の遅れや散布作業の負担に伴う防除不足による多発事例も増加している。そこで、本県では2種のカブリダニ製剤を利用した、促成イチゴ本圃におけるナミハダニ黄緑型の防除体系を検討した。 試験はいずれも奈良市山町の促成イチゴ生産施設4a×2棟(品種:章姫)で実施した。
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① 2010~11年の調査 放飼区は第1段花房開花盛期の11/26と12/7にミヤコカブリダニ(スパイカルEX、以下ミヤコ)を、ハダニが再増加した1/21にチリカブリダニ(スパイデックス、以下チリ)をいずれも5,000頭/10a相当量放飼した。無放飼区には天敵は放飼しなかった。また、両区ともに1/10にシフルメトフェン(編集部注 ダニサラバ。グラフ内▼)を散布した。11/26~4/28に約2週間間隔で50小葉のナミハダニ黄緑型、カブリダニ個体数を計数した。
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無放飼区は換気扇故障による樹勢低下により、ほぼ無防除でも冬期のハダニ発生が少なかったが、3月下旬以降急増してイチゴが全滅した。これに対し、放飼区はカブリダニ類の定着により、ハダニ類発生は低密度に抑えられ、生産者からは好評であった。しかし、3月上旬の一時的なハダニ増加により、一部の株が劣化して収量に影響した。 本試験では、ミヤコとチリの体系放飼によるナミハダニの防除効果が確認できた。ミヤコは放飼後増加するまでが遅く、3月上旬のハダニピークまで増加しなかったことから、予防効果が不十分ではないかと疑われた。これに対し、チリは厳冬期でも放飼後直ちに増加したことから、効果は高いと考えられた。そこで、次年度は、チリとミヤコの体系放飼とチリのみ2回放飼する体系の比較を行った。
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② 2011~12年の調査 試験①ではミヤコの増加が遅かったことから放飼時期を早くすることとし、ミヤコ+チリ区は開花始期の11/8にミヤコ、ハダニが再増加した12/13にチリを放飼した。チリ+チリ区は11/8と11/25にチリを放飼した(放飼量は試験①と同様)。このほか、両区ともに11/6にシフルメトフェン(グラフ内▼)、12/17にシエノピラフェン(編集部注スターマイト。グラフ内▼)散布した。調査は10/25~4/27に試験①と同様に行った。
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ミヤコ+チリ区では試験①よりもカブリダニ類が多く、2月下旬に一時的なハダニのピークがみられたほかは、ハダニの発生を低密度に抑えた。これに対し、チリ+チリ区は12月にハダニが急増した。その後チリも急増して最終的にはハダニ発生を抑えたものの、樹勢低下により減収が見られた。以上の結果から、ミヤコは冬の間、低密度であってもハダニ発生を抑制する要因として働いており、ミヤコとチリの併用によって高い効果が期待できると考えられた。一方、試験①同様に2月下旬~3月上旬に一時的にハダニピークが発生し減収した。この原因として、カブリダニ放飼直前の殺ダニ剤によるハダニ発生のリセットが不十分であることが考えられた。そこで次年度は、リセット不十分を補うため、速効性のあるチリとミヤコの同時放飼の効果を、通常の体系放飼と比較した。
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③ 2012~13年の調査 同時放飼区は開花始期の11/5にシエノピラフェン(グラフ内▼)散布後、11/6にチリとミヤコを同時放飼した。通常放飼区は、11/5にシエノピラフェン(グラフ内▼)散布後、11/6にミヤコを放飼した。その後ハダニが再増加した11/28にシエノピラフェン(グラフ内▼)散布後、12/4にチリを放飼した。調査は試験①②と同様に行った。
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同時放飼区は、放飼直後から調査終了までハダニが低密度に抑えられ、減収につながるような増加は全く見られなかった。これに対し、通常放飼区では試験①②と同様に3月上旬に一時的なハダニのピークが発生した。以上の結果から、チリ、ミヤコ同時放飼によって、促成イチゴのナミハダニ黄緑型の実用的な防除が可能であると考えられた。
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※2013年10月25日現在の情報です。製品に関する最新情報は「製品ページ」でご確認ください。
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