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スパイカルプラスの果樹での利用
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アリスタ ライフサイエンス(株)
技術普及マネージャー 里見 純
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2012年1月25日にスパイカルEXのパック製剤であるスパイカルプラスが農薬登録され、本年1月16日に果樹類のハダニ類に対して適用拡大いたしました。一昨年より試験サンプルでの試験を実施してまいりましたが、今年は登録が取得されたこともあり、これから更に多くの実証圃試験を実施していく予定です。 今回はこれまでの試験結果の中から広島県三次市のハウスブドウ、埼玉県での露地なしでの取り組みについてご紹介いたします。
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ハウスブドウでの利用 広島県三次市の三次ピオーネ生産組合で生産されているブドウ品種ピオーネは「黒い真珠」の愛称で親しまれ、最高級の贈答品として30余年の歴史があります。
組合員は19戸で栽培面積は約35ha。その全組合員が専業でブドウを栽培しており、土づくりから肥料にまでこだわった栽培に取り組んでいます。
同組合ではここ数年、ハダニによる被害が目立つようになりました。ハウスブドウでは登録農薬が少ないことや、果実が膨らみ始める時期は水を使った薬剤散布が難しいことから、非常に防除が困難な害虫です。そこで、広島県北部農業技術指導所と共同で天敵を利用したハダニ防除技術の検討を始めました。 当初は、ボトル製剤のスパイカルEXをコーヒーフィルターに小分けにしてブドウの枝に設置していたため、非常に手間と時間がかかっていましたが、新製剤スパイカルプラスの登場により省力化を図ることに成功しました。
・ 試験場所: 広島県三次市(三次ピオーネ生産組合) ・ 使用天敵: スパイカルプラス ・ 天敵実証区: A区20a(5.0頭/㎡)、B区24a(4.8頭/㎡)、C区17a(5.9頭/㎡) ・ 慣行区: 30a ・ 天敵放飼日: 2012年4月4日
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結果の概要 A,B区では、天敵の定着・増加が認められました。途中ハダニも見られましたが、天敵の増加やレスキュー防除もあり、後半までハダニを10葉あたり2頭以下に抑えることができました。C区では、ハダニはほとんど見られませんでしたが、天敵の増加も認められませんでした。これは天敵の放飼後、影響の強い薬剤を散布したためと考えられます。また、慣行防除区では、定期的な薬剤散布により栽培期間中にハダニはほとんど認められませんでした。
試験期間中に利用した化学薬剤は、A区で2剤(ニッソラン、カネマイト)、B区で1剤(スターマイト)、C区で3剤(コテツ、マイトコーネ、コロマイト)、また慣行防除区で4剤となりました。
試験の結果から、今後のブドウ栽培での天敵利用について ハウスブドウ栽培でも、天敵の利用により化学薬剤の散布回数を減らし、より効率的にハダニを防除することができました。また今回の結果から 他の作物と同様、天敵導入前のハダニ防除、天敵の導入時期、ハダニ増加時のレスキュー防除薬剤の選定の重要性について改めて確認できました。今後は更なる成功率の向上を目指し、天敵利用マニュアルの作成を検討中です。
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露地なしでの利用 関東は日本なしの有数の産地であり、栽培面積は5,000haを超えます。しかし近年、農薬抵抗性ハダニの出現から、通常の農薬散布だけではハダニの被害を十分に抑えることが難しくなりつつあります。また、都市近郊の栽培圃場は住宅に囲まれている場所が多く、近隣住民への配慮から農薬をまきにくい状況になっています。そこで農薬が効きにくくなったハダニの防除対策、農薬散布回数を削減できる技術として、スパイカルプラスへの期待が高まっています。
以下に昨年度埼玉県で行った、天敵を利用したハダニ防除試験の結果を示します。 ・試験場所: 埼玉県農林総合研究センター園芸研究所 ・作物名: 日本なし(品種:彩玉) ・仕立法: ジョイント仕立 ・使用天敵: スパイカルプラス ・天敵放飼日: 2012年6月22日 ・放飼量: 約100パック/90樹/10a ・調査方法: 放飼前、放飼2、4、6、8週間後を目安として、20樹をランダムに選抜し、10葉/樹に 寄生するハダニ類およびカブリダニ類を計数した。
今回試験させていただいた圃場では、土着天敵を活用するため天敵に影響の少ない農薬を利用してきました。しかしハダニの防除は土着天敵だけでは難しく、毎年3回の農薬散布が必要でした。そこで今回、さらに農薬散布回数を減少させるため、スパイカルプラスを導入してハダニの防除効果について検討しました。
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結果の概要 スパイカルプラス設置前の調査では、土着の天敵とハダニの両方が見られました。設置後は、ミヤコカブリダニを含めた天敵類が試験期間を通して増加していきました。一方ハダニは徐々に減少して後半にはほとんど認められませんでした。 試験期間中のハダニ剤散布回数は1回にとどまり、通常の3分の1に抑えることができました。
課題~パック剤への浸水~ 露地栽培でパック剤を利用したところ、雨によりパック内に水が溜まるものが確認されました。原因を調査したところ、パック上部にある天敵脱出穴にフスマが引っかかっていると、ふすまを通して徐々にパック内に浸水していることが判明しました。(写真3~5)
今後の対策としては、パック設置時に穴の周辺を指ではじくなどして、引っかかっているふすまを落とすことが必要と考えられます。(図1参照)
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今後のなし栽培での天敵利用技術について 天敵資材を利用するためには、薬剤の選択が非常に重要になります。特に有機リン、合ピレ剤など使い慣れた薬剤が利用できなくなるのは大きな問題です。
しかし今回の結果から、農薬を変えることで、スパイカルプラスなどの導入天敵に加え土着の天敵類も同時に活用でき、ハダニを安定して防除できることが確認できました。今後は、天敵による防除技術を確立するため、今回の試験を参考に防除マニュアルの作成を検討中です。
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※2013年4月30日現在の情報です。製品に関する最新情報は「製品ページ」でご確認ください。
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