アリスタIPM通信 生産者の声(きゅうり、スワルスキー)
 
 
生産者の声
 
JAさが佐城きゅうり部会
土橋 正博さん(佐賀県)
 

佐賀県のJAさが佐城きゅうり部会は、平成22年からスワルスキー導入試験を行ない、その高い効果が認められて、年々普及が進んでいます。栽培体系は抑制作(7月~12月)と半促成作(12月~6月)の2作体系の組み合わせで、そのどちらにも導入されています。平成24年には普及率が60%を超えました。

スワルスキーの導入だけでなく、紫外線カットフィルム・防虫ネット・褐斑病抵抗性品種の導入などの化学農薬低減のための取り組みや、省エネ対策としてのヒートポンプの導入、収量・品質の向上のための光合成促進装置の導入など、様々な取り組みを積極的に行なっています。こうした活動が評価され、第41回日本農業賞  集団組織の部で大賞も受賞されています。

今回は、3年前からスワルスキーを導入された土橋さんにスワルスキー導入のメリットと成功させるポイントについて伺いました。土橋さんは、長年のきゅうり栽培で高い栽培技術を習得され、安定的に高収量を確保されています。平成22年度の佐賀県野菜生産改善共進会においても、上位入賞をされています。

スワルスキーの導入で、農薬成分数・散布量を減らすことができました
スワルスキーは試験場からの紹介で導入を開始しました。スワルスキー導入後は、農薬散布回数や散布農薬の成分数、特にアザミウマやコナジラミ対象の殺虫剤の成分数を減らすことができました。抑制作の場合、8月上旬から10月までの散布回数を減らすことができました。
また、害虫の発生が低く推移するので全面に散布する必要が無くなり、スポット散布で済ませられる場面も増えたので、散布量も減らすことができましたのが大きなメリットです。それが、コスト面、労力面の軽減につながっています。

 
土橋 正博さん
 
土橋 正博さん

半促成作ではスワルスキーの導入で、コナジラミ・アザミウマの発生を抑えることができるので、収穫期間を延ばすことができて、結果的に収量・秀品率があがりました。3年前は、ひどい時には収穫した実にアザミウマがついていて、収穫後コンテナの中で食害し、実が白くなり出荷できなくなることもありましたが、そうしたこともなくなり
ました。これまでは6月いっぱいまでの収穫でしたが、今年は初めて、7月20日頃まで収穫することができました。



どの資材でも、その性質を理解して使うことが大事

スワルスキーにしても他の技術にしても、その性質と理屈を理解して使うことが大事です。スワルスキーを放飼すると薬をかけられないというイメージを持っている人もいますが、実際には影響の少ない使える農薬を最低限組み合わせる必要があります。スワルスキーを使うとアザミウマ・コナジラミの発生が少なくなるので、油断してハダニ・アブラムシ対象の殺虫剤や殺菌剤の散布がおろそかになりがちですが、そうしたことも注意する必要があります。スワルスキーが効果のある害虫・効果のない害虫を把握することが大切です。そうした正しい情報を部会全体に普及していくことが、成功のポイントになると思います。

スワルスキーの上手な使い方も、だんだんわかってきました。抑制作の場合、スワルスキーの放飼は、定植からできるだけ早い方が効果が安定します。半促成作の場合、少し暖かくなった4月初旬頃に導入するのが一番良い方法でした。購入苗にスワルスキーに影響の少ない殺虫剤を散布して害虫の持越しを防ぎ、定植時にネオニコチノイド系の粒剤を処理し、定植後7日ごろにスワルスキーを放飼しています。農薬影響表の中で「○」の農薬でも、2回連続で使うと影響があり、数が少なくなったので、それを避けて1回のみにしたらすぐにスワルスキーの頭数が回復しました。害虫の発生をよく観察して、どれくらいの発生が許容範囲なのかを理解することで、レスキュー防除のタイミングもつかむことができました。

スワルスキーの導入は、特に半促成作で大きなメリットを感じています。今後もスワルスキーを使っていきたいと思います。

 
 
※2012年11月27日現在の情報です。製品に関する最新情報は「製品ページ」でご確認ください。