天敵を放飼したら2か月後ぐらいに放飼した周辺でハダニが発生している葉(写真4のような葉表に黄色の斑点がついている葉が、ハダニがいる目印です)を虫メガネで観察してみてください。天敵はなかなか見つけることができませんが、ハダニの抜け殻(写真2)が目につくと思います。
これは天敵が脱皮直後の柔らかくて動きの鈍いハダニを捕食したため、ハダニがおらず抜け殻だけが残った状態だと考えられます。また、さらによく観察するとミイラのように干からびてくしゃくしゃになったハダニ(写真3)を見つけることができます。これこそが天敵に捕食されて体液を吸いつくされたハダニの成れの果てです。
放飼して数か月は天敵がまだ数が少なく見つけにくいのですが、このように抜け殻が見つかるのにハダニが少ない、干からびたハダニが見つかったということは天敵が活動している証拠です。安心してハダニ防除は天敵に任せてください。
写真5はハダニが多発生した時によくみられる光景だと思います。ところが、よく見ると葉色が緑色で濃く、写真4のような黄色の斑点が見られません。
実はハダニが増えてきたのですが天敵が防除したため吐糸だけ残った状態なのです。したがって、防除に成功した例ということになります。これも天敵にハダニ防除を任せて良い状態です。葉が糸だらけになったからと言って慌てて薬剤散布する必要はありません。葉の色を見て、さらに葉裏のハダニの発生状況も確認した上で薬剤散布を考えてください。
天敵を利用するようになって薬剤散布回数が減少し、作業が楽になったという方が多くいらっしゃいます。 この時間を栽培・収穫に使おうと考える方が多いと思いますが、圃場観察の時間にも使っていただくことが天敵を長く安定的に上手に使うコツです。
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