微生物を用いた病害虫の防除方法、特に昆虫病原性糸状菌を用いて害虫を防除する方法として、ボタニガードES(ボーベリア バッシアーナ菌)、マイコタール、バータレック(バーティシリウム レカニ菌)が市販されています。
これらは単独でも、チョウ目、甲虫目、カメムシ目、アザミウマ目などの害虫防除に用いられていますが、近年化学農薬に抵抗性が発達したコナジラミ類やアザミウマ類に対して化学農薬とともに混用することで効果が向上することが明らかになってきました。これらの糸状菌は害虫の体表面に胞子が付着し、発芽後に菌糸がその体内に侵入して感染が起きます。このため短期間に脱皮を繰り返す微小害虫では脱皮により付着した胞子が脱落してしまいますがIGRなど脱皮阻害剤との併用で効果を向上させることができます。また、菌糸の体内への侵入においても抵抗性が既に発達した薬剤も含め多くの殺虫剤との併用は害虫の通常の機能を麻痺させるので、感染力が向上します(下表)。
このように混用して使用することは、害虫の抵抗性発達を回避する手段として有効です。生物農薬を利用したIPMプログラムだけではなく、慣行防除による害虫管理を実施している生産現場でも抵抗性発達で効き目が悪くなったと感じられたら、一度利用されるとよいでしょう。