秋田県におけるリンゴ主要病害の防除
-ダイパワー水和剤を利用して-
佐藤 裕
- 農薬ガイドNo.99/G (2001.7.31) -
秋田県におけるリンゴ主要病害の防除
-ダイパワー水和剤を利用して-
佐藤 裕
- 農薬ガイドNo.99/G (2001.7.31) -
1.はじめに 秋田県において最近発生の目立つ病害には、斑点落葉病、炭疽病、褐斑病、黒点病等があり、特に炭疽病、褐斑病は近年やや多い発生となっている。 2.リンゴ斑点落葉病に対する防除対策とダイパワー水和剤の使用方法 近年の秋田県南部でのリンゴ斑点落葉病の初発生は6月下旬に集中している。梅雨入りの時期と重なり、7月には急増期に転じる。ポリオキシン剤は斑点落葉病に卓効を示すものの、耐性菌密度の高い園地が広範囲に見られている。近年は斑点落葉病が多発生にまで至らない場合が多いこともあり、使用面積は少ない。一方、イプロジオン剤は耐性菌が出現しているものの、発生地域が狭く、耐性菌密度も低いことから、斑点落葉病防除剤として有効な剤である。しかし、急増期に入ってからの使用では病勢を止められないケースも見られる。ポリオキシン剤、イプロジオン剤は7~8月の増加を抑えるために使用される薬剤であり、耐性菌回避の面からも使用には配慮を要する。斑点落葉病の防除はあくまでも保護防除が主体であり、秋田県では有機銅剤、オキシラン剤、ジラム・チウラム水和剤、イミノクタジン酢酸塩液剤他が防除基準に採用され、普及している。 第1図 斑点落葉病防除試験(秋田果樹試 1996) 供試樹:'スターキング'/マルバカイドウ。12年生 ▲リンゴ斑点落葉病 葉の病徴(左)と果実の病徴(右) 3.リンゴ炭疽病に対するダイパワー水和剤の防除効果
6~7月が秋田県におけるリンゴ炭疽病の主な果実感染の時期であり、多発生の場合は9月に入ってからも発生が見られる。斑点落葉病と同様に防除時期が比較的長い病害である。キャプタン剤、有機銅剤、ジチアノンフロアブル、クレソキシムメチルドライフロアブル等の効果が高いが、キャプタン水和剤は本病に対してとりわけ効果が高い。炭疽病に効果の低いイミノクタジン酢酸塩液剤にキャプタン水和剤を加用し、炭疽病対策を行なっている園も多い。 ▲リンゴ炭疽病 発生状況 第2図 炭疽病防除試験(秋田果樹試 1996) 供試樹:'王林'/マルバカイドウ。12年生 4.リンゴ褐斑病に対するダイパワー水和剤の防除効果
リンゴ褐斑病は秋田県では9月以降に発生し、多発すると落葉し、果実発病も見られるようになる。生態が十分に解明されていないが、以下のように考えられる。4月下旬から6月末まで飛散する子のう胞子によって、7月上旬頃には樹上に発病するものの定期的防除によって二次感染が抑えられ続ける。9月上旬の最終散布以降防除圧が低下するにつれ、樹上の病斑から分生子が降雨に伴って飛散し、蔓延する。したがって、7月以降の防除にもれがあると早期に発生し、被害が大きくなる。秋田県では主にTPNフロアブル、キャプタン・有機銅水和剤、有機銅剤、イミノクタジン酢酸塩液剤等により防除している。 ▲リンゴ褐斑病 葉の病徴(左)と果実の病徴(右) 5.秋田県でのダイパワー水和剤利用法
秋田県でダイパワー水和剤を利用する際の利点について以下にまとめてみた。 (秋田県果樹試験場) |