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(前号より続く) セレクト乳剤の使用とその効果セレクト乳剤の特性とその効果については、本誌・91('99.4.1発行)に詳しく記載されて いるので、ここでは「S-604(クレトジム23%)乳剤」の試験名で1995(平7)~1997(平9)年に、タマネギおよびニンジンについて北海道内における農業試験場などで実施された11単位の適用性試験の結果とその他いくつかの観察等から得られた所見を述べる。
試験の結果から除草効果を要約したものを、第3図、4図に示した。イヌビエやエノコログサなどのイネ科雑草に既存のイネ科雑草対象剤と同等の効果を示し、さらにスズメノカタビラに対しても高い効果が認められた。その効果は5.0ml/a処理より7.5ml/a処理のほうがより安定して高かった。効果の発現および完成に既存の剤よりいくぶん日数を要するようであり、特に低温環境下でその傾向がよく見られることから、再処理などしないように注意する必要がある。また、葉面などから吸収移行し植物体内の酵素活性を阻害して除草効果を呈する除草剤に共通して言えることと思われるが、低温や乾燥などで雑草の生理活性そのものが停滞している時はやはり効果が低下することが考えられる。 セレクト乳剤でもその処理前の数日間が4~5℃以下に経過した後に処理した場面で、十分な効果が得られなかった事例がある。いま、北海道でも栽培が普及しつつあるタマネギの秋播き栽培において、スズメノカタビラは秋に発生し、越年草としてまた春先早くから発生して問題が大きい雑草であるが、この辺りの処理のタイミングを失しないように注意する必要がある。 なお、要望になるが、現在の登録上でタマネギ、ニンジンに対しても使用回数は1回となっているが、その生育期間が長く、春雑草と夏秋雑草の発生が時期を変えてあるこれらの作物には2回程度の反復使用が許されるならば、ほぼ収穫に至るまでイネ科雑草の除草を要しないで済むことが期待できる。 除草剤の効果をより高めるために「農業は雑草との闘い!」「精農は草を見ずして、草をとる!」など、雑草をめぐる言い草がある。当世の大きな消費者ニーズである“クリーン農業”を展開する上で最初に俎上にのせられるのが除草剤(食糧生産の安定と省力化にこれ程貢献しているのにもかかわらず)という時流の中にあって、完膚無いまでの雑草の排除ではなくて、農作物の生育や作業性にほぼ支障が無ければ良しとする雑草との付き合い方を考える時であるとも思われる。耕種的な防除、機械除草とそれに除草剤を効果的に組み合わせた総合的な雑草防除体系をさらに工夫することが求められる。 今後とも、新しい除草剤や使用法の開発改良、効率よい散布機や散布方法の開発改良を期待しながら、生産者としては長期的な視点で常に自分の畑の雑草を少なくしていく管理を心がけることが肝要である。それには、①常に畑を裸地状態にしない、②秋耕やプラウ反転耕の励行、③種草抜き取りの励行(翌年まで雑草種子を残さない)、④雑草種子の侵入防止(完熟堆肥の投入、畑周辺の清掃除草)、⑤マルチ(敷きわら、有色フィルム)の利用を考えることである。これからの精農は、畑の草を良く見て、長期的な草との根比べ作戦を多用な選択肢の中から総合的に組み立てる人ということになるのであろう。 (北海道立花・野菜技術センター)
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