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はじめにバイオキーパー水和剤は、非病原性軟腐病菌(エルビニア・カロトボーラ)を有効成分とするまったく新しいタイプの軟腐病防除剤です。現在、ハクサイ、ダイコン、バレイショ、キャベツ、タマネギの軟腐病に対し登録があります。また、レタス、ネギに対して適用の拡大を予定しています。 なお、上記の軟腐病以外に、ブロッコリー、カブ、キュウリ、セロリ、チンゲンサイ、パセリ、タ-サイ、ズッキ-ニ、ラン、シクラメン等の軟腐病に対しての効果も現在試験中です。
▲ハクサイ畑(左)とハクサイ軟腐病(右) バイオキーパー水和剤の開発の経過1987年(昭62)からバイオキーパー水和剤の基礎研究を開始しました。その結果、一部の非病原性軟腐病菌が軟腐病を防除することができることを発見し、当剤の開発に到りました。。一般に細菌の中には自身の類縁の細菌に対して、抗菌活性を持つ蛋白質であるバクテリオシンを分泌生産するものが比較的多く存在します。代表的な植物細菌病である軟腐病菌もその一つで、これを利用して微生物農薬を開発できないかとの発想が、本剤開発の発端です。 軟腐病菌の多くの菌株がそれぞれの中で多くの菌株に対して抗菌活性を持ち、なおかつ、多くの菌株の産生するバクテリオシンに対して耐性のある菌株を選抜しました。これらの菌株を非病原性にして、病気の抑制程度を検定しました。続いて、当社研究所および東北大学遺伝生態研究センター、宮城県農業短期大学、(社)日本植物防疫協会研究所等でポット試験および圃場試験を実施し、防除効果の高い菌株を選別し、本剤の有効成分となる菌株を得ることができました。ちなみに、この菌株は、群馬県のハクサイ畑での軟腐病罹病ハクサイから分離したものです。さらに、製剤製法について検討を重ね、水和剤を採用し、微生物農薬バイオキーパー水和剤として完成に到りました。 一方、効果のメカニズムについては、研究が進むにつれて、防除効果の主な要因はハクサイ葉上にバイオキーパー菌が定着し、場所および植物からの栄養物を独占することにより軟腐病菌の菌密度を低く抑え、発病を抑止することにあり、むしろ副次的な効果としてバクテリオシンの抗菌活性があると考えるに到りました。 以下にバイオキーパー水和剤の効果の要因、特長、使用法について述べます。 バイオキ-パ-水和剤の効果の要因ア)軟腐病菌は、植物の傷口から植物内に入り、そこから植物の栄養を食べて増えますが、バイオキーパー水和剤を散布しておけば、軟腐病菌より早くその栄養をバイオキーパー菌が食べるため、軟腐病を防ぐことができます(葉面上での競合効果)。 イ)多くの細菌はバクテリオシンと呼ばれる蛋白質の抗菌物質を生産しますが、バイオキ-パ-菌も同様に蛋白質の抗菌物質を生産します。バイオキーパー菌の場合、この抗菌物質の他の軟腐病菌に対する抗菌効果が幅広いため、軟腐病の発生を抑えることができます(抗菌作用)。 バイオキ-パ-水和剤の特長
バイオキ-パ-水和剤の安全性バイオキ-パ-水和剤の人畜毒性は普通物、魚毒性はA類相当で、魚介類や昆虫、植物等への影響は認められません。つまり、環境に優しい環境保全型の農薬といえます。バイオキ-パ-水和剤の適用と使用法は第1表のとおりです。
第1表 適用範囲及び使用方法
バイオキ-パ-水和剤の上手な使い方
第2表 他剤との混用可否表
バイオキ-パ-水和剤の施用上の注意事項バイオキーパー水和剤の施用にあたっては以下の点に注意して下さい。
また、保管にあたっては、次の点を守って下さい。
(セントラル硝子(株))
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