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大分市のシソ(おおば)は、1977年(昭52)に共販が開始され、以来、豊富な雇用労力を活かした都市近郊型農業として成長してきた。現在、部会員は大分市と湯布院町の11戸、栽培面積は約15ha。1997年度(平成9年度)の販売金額は16億1,800万円で、愛知県に次ぐ産地である。育苗、生産、収穫、調整作業の分業化とパートタイマーの雇用で戸別面積の拡大を図り、増産と周年安定出荷で産地の基盤を強化してきた。さらに、高品質生産のための技術革新にも積極的で、特に減農薬栽培には早くから取り組んでいる。そこには、シソがマイナー品目である等の理由で登録農薬が非常に少ないという現実問題もあった。シソは、周年栽培で定植約1ヵ月後から収穫が始まり、収穫期間は4ヵ月~8ヵ月間に及ぶ。収穫終了時の草丈は、大人の背丈ほどにもなり、栽植密度も多いので過繁茂状態になる。よって、防除も次第に難しくなり、栽培面積の多い生産者の負担は大きい。主な害虫は、ハダニ、コナジラミ、スリップス、ハスモンヨトウ、オオタバコガ、メイガ類である。 フェロモントラップの導入は1988年(昭63)から始まり、黄色灯は1995年(平7)から設置され、現在、花芽抑制の白色灯の代替として設置がすすんでいる。また、1993年~1995年には、大分県農業技術センターと交信錯乱型フェロモン剤によるハスモンヨトウの防除試験を実施した。天敵利用は1997年から、2戸の生産者で始まった。利用事例を以下に記す。
A生産者の天敵利用事例
問題点
利点
そのほかの取り組みスパイデックスの他に、1997年からエンストリップも一部で試みられている。しかし、効果不足で利用がすすんでいない。放飼時期、放飼量、ハウスの周辺環境等、検討の余地は十分ありそうだ。しかし、最近、管内の野菜生産者からコナジラミ類の薬剤抵抗性を訴える声が非常に多く聞かれるようになり、エンストリップの利用技術の向上に期待している。また、ククメリスについても今年一部で試みた。 今後の取り組み消費者の農産物への安全性志向と生産現場での環境負荷の軽減は、今後ますます重要度が高くなってくる。このような情勢を踏まえると、今後の生産のあり方を考えざるをえない。また、それらの要望に応えていくことは、産地の体質強化にもつながると思う。経済不安、農産物の価格低迷で生産者にとって経費削減が必須であるなか、価格面だけを捕らえれば天敵利用は難しいということになるが、総合防除にうまく組み込み、より品質の高いシソが周年安定生産されれば産地としての評価も高まり、生産者への見返りも多くなるのではないだろうか。そのためには、他の害虫防除策も絡めながら、その利用方法を十分検討する必要がある。さらに現状の防虫ネット、フェロモントラップ、黄色灯の設置をよりすすめ、耕種的防除と合わせて総合防除の確立を図り、これを組織的な取り組みに発展させたいと考えている。 (大分農業改良普及センター)
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