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愛知県におけるアブラナ科野菜の作付面積(第1図)は、1995年産でキャベツが4,440ha、ダイコン1,070ha、ハクサイ1,100ha、ブロッコリー714ha、カリフラワー174haで、合計すると7,498haとなる。近年、生産者の高齢化に伴う労働力不足や都市化の進展等により作付面積は減少傾向にある。 この広大な面積のアブラナ科野菜栽培で特に問題となるのがコナガ対策で、コナガは一世代に要する期間が短く、繁殖力が旺盛で、各種殺虫剤に対し抵抗性が顕在化しているため防除は非常に困難となっている。ここでは数種の殺虫剤についてコナガに対する防除効果試験を実施したので紹介する。
第1図 アブラナ科野菜の作付面積の推移
コナガの発生消長冬春どりキャベツでのコナガの発生消長をフェロモントラップ誘殺数により第2、3図に示した。9月上旬頃からコナガは増加し始め、年により発生量に違いはあるものの、11月上旬まで多くの誘殺がみられる。その後は気温の低下に伴い誘殺数は減少するが、12月~1月の厳寒期にも作物上で成幼虫および蛹の寄生がみられる。
▲渥美半島のキャベツ栽培地帯
▲コナガの成虫(上)と幼虫による被害
第2図 コナガの発生消長(豊橋市伊古部町)
第3図 コナガの発生消長(大府市)
殺虫剤感受性検定キャベツ主要産地採集コナガでの各種殺虫剤に対する感受性を調べた。供試虫は1994年11月に渥美郡渥美町、1995年11月に豊橋市老津町で採集した3齢幼虫を用い、薬剤処理方法は有機リン剤、ネライストキシン剤、合成ピレスロイド剤は虫体浸漬、BT剤、IGR剤、新規剤は葉片浸漬で行なった。 その結果、1994年渥美町採集の個体群は、有機リン剤、ネライストキシン剤、合成ピレスロイド剤に対して、死虫率は非常に低かった。その中でもピリミホスメチル乳剤だけは、3日後の死虫率が76.7%と比較的高かった。BT剤は3剤とも6日後に死虫率は100%に達し、感受性の低下は認められなかった。IGR剤は6日後の死虫率がクロルフルアズロン乳剤83.3%、テフルべンズロン乳剤33.3%、フルフェノクスロン乳剤43.3%となり、感受性の低下が認められた。
1995年豊橋市採集の個体群は、渥美町採集の個体群とほぼ同様の傾向がみられ、有機リン剤、ネライストキシン剤、合成ピレスロイド剤、IGR剤についてはさらに感受性は低くなり、BT剤については3剤ともに死虫率は高く、感受性の低下は認められなかった。新規剤については、ジアフェンチウロン水和剤、クロルフェナピルフロアブル、DEI-9101顆粒水和剤、エマメクチンベンゾエート乳剤ともに死虫率は高く、その特性はジアフェンチウロン水和剤は遅効的であったがDEI-9101顆粒水和剤は速効的に効果が現れ、1日後の死虫率は100%に達した(第1表)。(次号へ続く) (愛知県農業総合試験場 園芸研究所)
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