現地レポート
高温期におけるマルハナバチの避暑対策
渡邊 敏弘
- アリスタ ライフサイエンス農薬ガイドNo.80/F
(1996.7.1) -
夏期の高温期にマルハナバチを導入すると気温の上昇とともに訪花活動が鈍ってくる。時には早朝や夕方しか訪花活動せず、その間は巣箱からまったく出なくなる。マルハナバチは10℃以上になると日の出前や日没後の薄暗い状態でも活動性が高い。活動適温は10~25℃で30℃を越える高温下では活動は著しく弱まり、35℃以上になると訪花はほとんど行われない。また、夏期ではマルハナバチの寿命も冬期より短く、30日程度である。補助花粉を与えるなどの延命技術も含めマルハナバチの最適活動温度に少しでも環境を近づけてやることが必要である。特にハウス内で温度が高くなりやすい。コロニーによって温度に対する感受性は違うが高温対策が必要となってくる。そこでいくつかの避暑対策について下記に述べる。
基本的に気温35℃以上では訪花活動を行わないため、夏場では比較的気温の低い早朝や夕方の訪花活動に期待するしかない。
マルハナバチは巣箱内が高温になると巣箱口付近でハネをバタつかせる行動をとる。このハチは働きバチであり、これだけでハチの寿命は短くなる。
(1) 地中埋設
巣箱を地中に埋める方法で、地温は気温ほど温度が上がりにくく変化も小さいため避暑効果が大きい。反面、冠水しやすく、また、「アリ」害も出やすいので注意が必要である。
(2) 冷却剤の使用
巣箱上に冷却剤を乗せ使用する方法である。冷却剤をのせることで、巣箱外側を冷却させ間接的に巣箱内温度を下げる効果がある。簡易な方法だが細かい温度調節ができない。冷却剤の使用は気温の高い時間帯だけ使用するようにする。曇りや雨の日など気温の低い日に使用すると巣箱内温度が下がりすぎ逆効果となる。また、冷却剤は露を持つため直接乗せるのではなく、タオル等で包んで間接的に乗せる。冷却剤は余り大きいものを使用せず、小さなものをこまめに交換するほうが効果的である。併せて発砲スチロール箱で断熱する。
(3) 遮光(日傘)
直射日光を遮断し、巣箱内温度の上昇を抑える。巣箱の上に日除けの傘を付けるのが一般的である。ただし、反射する資材はマルハナバチに対して忌避効果があるので使用しない。
(4) 通風
なるべく風通しのよいところに設置する。できるだけハウス内は避け、ハウス外に設置する。その際、雨などに当らないようにする。
(5) 導入時期
いきなり高温時期に導入するより、余裕を見て早めに導入し、除々に高温にならしていったほうが高温にならしていったほうが高温に対して抵抗性が高い。
(南会津地域農業改良普及センター南郷出張所)