なしのハダニ類
 
【ハダニとは】
ハダニは足が8本あることから、昆虫ではなく蜘蛛の仲間に分類されます。クモの巣状の網をかける習性もあります。
ナミハダニ
なし栽培で主に発生するハダニの種類は、「ナミハダニ」「カンザワハダニ」「クワオオハダニ」「ミカンハダニ」などです。
カンザワハダニ
ハダニ類
この種は、非常に小さく、体長は0.5mm前後で、肉眼で識別することは困難です。
ハダニは、1回の産卵数が100~150個と非常に多く、短期間(約10日間)で世代交代をして繁殖を繰り返していきます。(25度の適温時)
卵は球形で、産卵直後は透明に近い色をしていますが、ふ化が近づくにつれて赤味を帯びてきます。
梨(なし)への被害の初期症状は「葉」がかすり状となりますが、被害が進むと緑色を失い褐色し、早期に落葉します。
 
 
【発生状況】
ハダニは気温が10度前後になると発育が始まり、25度以上になる7月~8月の高温乾燥条件下で、爆発的に増加します。
一般的に、「越冬ダニ(春ダニ)」の4月、「夏ダニ」の7、8月、「秋ダニ」の9、10月の発生が目立ちます。
「ナミハダニ」や「カンザワハダニ」などは、幹や枝の粗皮下、雑草などで越冬し、春になると「越冬ダニ」として活動を再開します。
 
 
 
【防除のポイント】
雑草が生える4月頃から「ハダニ」の発生源となる下草を定期的に除去します。
草刈後は、ハダニが幹に這い上がってくることがあるので注意が必要です。
葉が生い茂る5月下旬~6月に「スパイカルプラスUM、スパイカルプラス(ミヤコカブリダニ)」を、一樹に3~4パック装着します。
その際、雨水対策として「防水カバー」を付けてください。
詳しくはお問合わせください
 
「防水カバー」を付けたスパイカルプラス
防水カバーの中に「スパイカルプラス」を入れて枝に吊るした写真
化学薬品を使用する際は、薬剤抵抗性の発達を抑えるため、同一の系統の連続使用はさけて、ローテーションを心がけてください。
開花期のマルハナバチ(ナチュポール・ブラックやミニポール・ブラック)導入後は、ミツバチやマルハナバチに影響する薬剤には十分注意します。
12月~2月に幹の粗皮を削り取り、隠れていた害虫やカビを表に出して、冬の寒さに当てることにより病害虫を防除します。
冬季に誘殺バンドを使用する際は、12月~2月に取り外して、バンド内で越冬している「ナミハダニ」や「カンザワハダニ」を焼却処分して、越冬密度を低下させます。
 
 
 
 
 
 
 
 
「発生(発病)状況」や「防除のポイント」など、このページでご紹介した情報は一例です。
地域に「防除暦」などがある場合は優先的に参照して、注意点などをご確認ください。
対象病害虫、回数、収穫使用前日数などについては、使用前に必ずラベルを確認してください。