アリスタIPM通信 パイレーツ粒剤の紹介
 
 
パイレーツ粒剤の紹介
 
製品開発本部 開発部 山中聡
 

「微生物殺虫剤」メタリジウム アニソプリエ粒剤 (H26.2.26)


Metarhizium(メタリジウム或いはメタルヒジウム)属の昆虫病原性糸状菌は温帯や熱帯地域に広く分布し、その宿主域は広範囲の昆虫に及び、土壌に存在する常在菌です。Metarhizium anisopliae(Metschn.)Sorokin(メタリジウム アニソプリエ)は、1879年、METCHNIKOFFによりコガネムシに感染していた昆虫病原性糸状菌として分離され、Entomophthora anisopliaeと命名されていました。

その後、多くの菌株が分離され、200種以上の昆虫に感染することが知られています。また、これらを利用した生物的防除法としてはバッタ、シロアリ、アザミウマなどの駆除にも使われています。我が国ではクロカメムシの防除にメタリジウム  アニソプリエを用いた防除試験が行われ、1930年代から40年代にかけて林野庁はネキリムシの防除用にメタリジウム  アニソプリエの大量生産を目的とする培養所まで設立しましたが、農薬の登録には至っていませんでした。

メタリジウム菌の分生胞子は、昆虫の体表に付着、発芽し、感染した昆虫は大抵2~3日で死亡します。また、湿度が十分な場合、体表に菌糸が発生し、死骸の表皮が濃緑色~暗緑色の菌糸に覆われることから、黒きょう病菌とも呼ばれています。

当該菌株であるメタリジウム アニソプリエSMZ-2000株は2000年に九州大学大学院農学研究院・清水進教授(現西日本短期大学)により京都市の畑地土壌から分離され、室内でミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)に感染させた後、再分離されたもので、現在九州大学により独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターへ寄託番号「NITEBP-1113」として寄託されています。

本剤の開発コンセプトは、土壌表面に散布することで植物体から落下して蛹化する特性を有するアザミウマ類を標的とし、次世代の成虫が植物に再び戻らないよう、世代を分断することにあります。これにより、他の薬剤や天敵による茎葉部での密度抑制効果と併用し、より確実にアザミウマを防除することを目指しています。今後は野菜類への適用拡大、マンゴー・チャノキイロアザミウマ防除、花き類・アザミウマ防除などへの適用を検討しているところです。


本剤の作用発現について
アザミウマ類の幼虫は2齢幼虫に成長すると蛹になるために湿度の高い場所に移動する性質を持っており、一般に植物の茎葉部から土壌表面に落下します(次頁図中①、以下同様)パイレーツ粒剤を株元に散布しておくとアザミウマは落下した後に、成長したメタリジウム菌の胞子に感染、死亡します(②)。

また、土壌にいた蛹から成虫になるときにも感染します(③)ので、次の世代のアザミウマが増えず(④)長期間アザミウマの密度が抑えられるようになります。破砕米の表面にメタリジウム菌をコーティングしたパイレーツ粒剤(A)は土壌に処理すると膨潤して菌が増殖します。栄養成長して白い菌糸が伸びてきた(B)のち、胞子が形成されて濃緑色にかわってきます(C、D)。

温度条件にもよりますが20~30℃で10-14日すれば変化します。落下してきたアザミウマの死亡は、落下後感染すれば2-3日で死亡しますが、茎葉部でアザミウマがいないと感じるのはパイレーツ粒剤を処理して2週間くらい経過した頃です。

 

パイレーツ粒剤
 
 
 
 
※2014年7月23日現在の情報です。製品に関する最新情報は「製品ページ」でご確認ください。