アリスタIPM通信 スワルスキーの現地実証試験(2009年)
 
 
スワルスキーの現地実証試験(2009年)
 
スワルスキー(スワルスキーカブリダニ剤)は、昨年1月に販売が開始されました。
全国の施設栽培を中心に既に利用されておりますが、弊社においても各県地域普及センターや弊社現地フィールドアドバイザーによる実証試験を2008年秋~2009年夏にかけて150件超実施しました。実施した作物は、ピーマン類(ピーマン、カラーピーマン、パプリカ、シシトウ等)、キュウリ、ナス、アスパラガス、オクラ、イチゴ、オオバ等多岐にわたります。本特集では、ピーマン類、キュウリ、ナスでの事例を対象に表1にその概要をまとめました。
 
表1.  2008年秋~2009年夏における各作物・作型での実証試験評価結果
2008年秋~2009年夏における各作物・作型での実証試験評価結果
 
ピーマン類
 
促成栽培では、定植後の放飼からスワルスキーが厳寒期(2008年12月~2009年2月)を通じて安定した定着が見られました(本実証試験は試験研究機関を通じて上市前から放飼を開始しております)。安定した定着は管理夜間温度が他の作物より高いこと(>18℃)、花からの花粉が葉面に散乱されてスワルスキーが容易に餌として利用できることがうまく定着、増殖できた要因と考えられます。
ピーマン類
  一方、どの作型でも問題になったのが外部からのハウス内、特に花へのヒラズハナアザミウマを中心とした成虫の飛来でした。スワルスキーは、アザミウマ成虫に対しては捕食性が低いので少なくとも1mm目合いの防虫ネットの設置、青色ホリバーの利用が成虫侵入防止対策として必要です。また、長期作型ではタイリク(タイリクヒメハナカメムシ剤)を併用することが花でのヒラズハナアザミウマ成虫の多発生には効果的でした。
     
キュウリ
  ベと病、褐斑病の防除に利用されるマンゼブ剤等ポリカーバメート系殺菌剤とスワルスキーの相性が悪いため、促成栽培では、病害防除が主体的に実施される定植後~2月中までは通常の慣行防除を推奨しました。スワルスキーは西日本では3月中旬、東日本では4月上旬に放飼して春季のアザミウマ防除に高い効果を示しました。さらに、栽培期間中コナジラミに対してもその発生を抑制できました。注意点として、スワルスキー放飼の1ヶ月前には影響のある薬剤の使用を中止することです。
夏秋、抑制栽培ではスワルスキーの活動に充分な温度が得られるのでその増殖、定着がスムーズで、アザミウマ、コナジラミともに高い防除効果が得られました。スワルスキーが1葉当たり3-6頭程度定着している状態では、ネオニコチノイド系殺虫剤やポリカーバメート系殺菌剤の散布を行った場合でも、一時期密度は減少するものの回復してくることが分かりました。
アザミウマ密度を低密度で維持できた圃場では、黄化えそ病が発生した株が存在しても周囲への拡散が抑えられる事例がありました(福岡県、群馬県)。防虫ネットが無展張であると、スワルスキーのみではアザミウマ密度を効果的に抑制させることができなかった事例もあり、可能な限り防虫ネットの設置と青色ホリバーの設置を併用していく必要があります。
   
ナス
    促成栽培における実証試験の開始は2009年春からで、既に植物体が大きくなった3月中旬~下旬の1回放飼でした。このようなプログラムでは、表1に示したように大半で効果が低くなり失敗してしまいました。このことから、ナスでは、定植後からのスワルスキーの放飼が不可欠であるという教訓を得ました。一方、促成栽培で1例ですが、効果が見られた試験は、定植後の9月と次年度の3月の2回放飼した試験です。秋放飼で害虫密度を抑制しておき、翌年に追加放飼するスケジュールでは越冬害虫密度を前もって低密度にしているために春の害虫密度の増加速度が遅くかつ天敵により抑制されたことが比較的高い効果が得られたものと考えております。 
現在2009年秋から開始した実証試験で9月~10月にスワルスキーを放飼すること、春からはタイリクも併用することを考え実施しています。一方、半促成栽培では3月下旬~4月上旬の放飼は植物体が小さくスワルスキーが容易に植物全体に拡散すること、放飼後に温度が上昇していくことから、天敵の定着がスムーズで高い評価が得られました。また、夏秋栽培でも同様です。ナスでもピーマンと同じように花へのヒラズハナアザミウマの侵入飛来が問題となった事例もありましたが、防虫ネットの設置、青色ホリバーの利用が効果的でした。さらにアザミウマ密度の高い場合ではタイリクとの併用を推奨しています。
     
     
上記3作物での生産者アンケート
実証試験を実施したピーマン類、きゅうり、なす生産者からのアンケート
実証試験を実施したピーマン類、きゅうり、なす生産者からのアンケート

上記各作物における結果にも示しましたとおり、生産者から直接頂いたアンケートでも各作物・作型に対するスワルスキーの効果が反映されておりました。ピーマン類ではどの作型でも安定した定着と防除効果が見られ、慣行防除に優る結果で次作からの使用の要望がありました。さらに、ピーマン類、きゅうりでは収量及び品質でも慣行防除と比較しよりよい品質と収量が得られると実感されています。特に、これらの作物では慣行防除に比べて植物が生き生きとしていて果実の着果終了間際でも旺盛であることが認識されています。なすでは、促成栽培で上述のように効果が判然とせず、生産者の印象が良くありませんでしたが、半促成及び夏秋栽培では好印象を得ています。
     
     
その他の作物
上記3作物の他に実施した試験ではサヤインゲンでコナジラミ防除に高い効果を示しています。アスパラガスでは5~6月のアザミウマへの効果が不十分でしたが、9~10月のコナジラミ防除では効果が得られています。これらの作物に関しては試験事例も少なく、本年度さらに検討することを予定しております。
 
 
※2010年1月29日現在の情報です。製品に関する最新情報は「製品ページ」でご確認ください。